看護師不足が社会問題化する中で、看護師の資格を持ちながら結婚や出産、育児などで現場を長く離れている“潜在看護師”の復職をサポートする取り組みが川崎市内で広がっている。市立看護短期大学(幸区)では今秋から復職に向けた講座をスタートさせるほか、市内の病院でも復職支援プログラムを充実させている。
潜在看護師にとって復職をためらわせる大きな理由が看護技術の変化。市立看護短大では、最新の医療・看護情報を伝える生涯学習支援講座を10月からスタート。「看護とキャリアを語ろう」「変わっていく看護技術」と題した二つのコースを用意し、ITが発達している医療現場の現状などを紹介する。
潜在看護師の復職支援の取り組みは病院の現場でも広がっている。たま日吉台病院(麻生区)では2008年から「潜在ナース復職支援プログラム」という研修をスタート。年に2回行われており、6日間の日程で看護倫理や安全対策を学ぶほか、院内見学やベッドメーキング、注射の研修など、多彩なプログラムを展開している。毎回、10人程度が参加している。
中澤美奈子統括看護部長は「自分も子育てで8年間のブランクがあった。それだけに、当時感じた不安を考えながら現場に戻りやすいプログラムを考えている。看護の道に一人でも多く戻ってきてほしい」と話している。
川崎幸病院(幸区)でも08年から復職支援セミナーを開催している。毎年5回程度開き、注射や採血の研修のほか、電子カルテの説明や救急救命士による講習も実施。過去の職歴や希望部署に応じた院内見学なども行っている。
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