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鉄道コラム「前照灯」(269)至福の山歩き

社会 | 神奈川新聞 | 2017年3月3日(金) 12:00

雪に覆われた林道
雪に覆われた林道

 このところ山歩きのようなことを続けている。頂上を目指すわけではない。山河を越えてけなげに走る鉄道の姿を、俯瞰(ふかん)して撮影しようという魂胆だ。日ごろ運動不足だから、カメラやレンズを背負って坂を上るのはつらい。けれど、眺望が開けた場所から小さな列車を見下ろすのは、鉄道模型を眺めているようで実にすがすがしい▼夏は熊とスズメバチが怖いし、何より暑い。それに比べると冬の関東近郊の低山は静かで、歩くほどに体が温まって心地よくなる。葉の落ちた枝越しに柔らかな日差しが差し込み、足元からはかさこそと、落ち葉を踏む音が聞こえるだろう▼そう思って先日、群馬県のJR吾妻線沿線を訪ねたら、すっかり銀世界だった。あっけにとられつつも、天候が悪いわけでなし、一応それなりの格好をしてきたので構わず進んだ。積雪はせいぜい15センチぐらいで難なく歩けた▼密集した木立の下に日はなかなか差さない。下界の気温は上がっているだろうが、杉林の林道は昼すぎになっても雪が溶けることなく、さらさらと乾いたままだった。そこを、ギュッギュッと音を立てながら、踏みしめて歩く。静かすぎて耳が痛い気がする。シジュウカラかキビタキか、小鳥が遠くで鳴いている▼駅から歩いてこその撮り鉄。至福の山歩き。(さ)

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