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死者ゼロ実績積み重ね、湯河原ライフセービングクラブが設立15周年/神奈川

社会 | 神奈川新聞 | 2011年7月24日(日) 13:02

「遠くからでも目立つ」という赤と黄のユニホームに身を包んだメンバー。前列左から木原さん、ステファンさん、永井さん=湯河原町吉浜の湯河原海水浴場
「遠くからでも目立つ」という赤と黄のユニホームに身を包んだメンバー。前列左から木原さん、ステファンさん、永井さん=湯河原町吉浜の湯河原海水浴場

海水浴客でにぎわう湯河原の海に、全国屈指の水難救助集団がいる。設立15周年を迎えた「湯河原ライフセービングクラブ」。先進地・オーストラリアに学んだ初代会長で現顧問の永井宏さん(56)が若手とともに技術を磨き、水難事故の減少につなげてきた。監視中は10年以上、水死者が出ておらず、競技面でも全日本選手権で6度の優勝を誇る。そんな実績におごることなく、この夏も安全確保に力を注ぐ。

「海の日」を控えた3連休初日の16日。湯河原海水浴場(湯河原町吉浜)は台風の接近で荒れていた。「遊泳注意」を意味する黄色い旗がたなびく浜で、緊張した面持ちのメンバーが海に視線を走らせる。

「あれ、危ないな」。永井さんが沖にいるボディーボードの男性を指さした。遊泳区域だが、ほかの海水浴客から一人離れている。救助具を手にしたメンバーが出動、素早く泳ぎ寄って浜の方へ移動を促した。「これが救助の前段階の『安全移送』。先手先手で事故を防ぐのがライフセービングの真骨頂」と永井さん。この日は安全移送5件、救助0件だった。

クラブの正会員は現在約50人。シーズン中は町営施設に交代で泊まり込み、常時10~15人体制で監視に当たる。時間的な制約の少ない大学生が半数以上を占め、OBの社会人が脇を固める。女性は10人を超える。

「実は水泳初心者も多い」と学生リーダーの監視長木原拓己さん(22)=東海大3年。それでも、永井さんらの指導、早朝と夜の2部練習、そして何より「人の命を守る」という責任感が「自分たちを支えている」と力を込める。

湯河原の海水浴客数は1日約3400人(2010年)。町担当者によると、「1980年代は水死者が絶えなかったが、最近10年間は監視活動中の水死者はゼロ」という。救助に至るケースも、1シーズン数件で推移している。

永井さんは水泳部だった学生時代、平塚の海で男児の水死事故に遭遇した。「当時の日本では事故の救助に漁師や海の家のアルバイトが当たることも珍しくなかった。それじゃあ命を救えっこない」。泳力には自信があった。海の安全に生かしたい、そう考えた。

26歳でライフセービング先進国のオーストラリアへ。すぐにプロ資格を取り、恩師アーネスト・ステファンさん(79)=現顧問=から技術や心構えを学んだ。

帰国後の90年、町の依頼を受けて海水浴場のパトロールを始めた。オーストラリアからステファンさんらを招き、学生を集めてノウハウの普及にも努めた。最新の救助機材を買い入れ、96年にクラブを設立。99年には救助技術を競う全日本ライフセービング選手権で初優勝し、4連覇を含む6度の栄冠に輝いた。

教え子が千葉・九十九里浜でライフセービングクラブを立ち上げるなど、新たな輪も広がり始めた。「日本は海の常識を知らない人があまりに多い」と指摘する永井さんはこう確信している。「一人一人の意識が変われば必ず事故は減る。救える命はまだある」

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