
鎌倉市図書館が20日、県内の公立図書館として初めて開館100周年を迎えた。開館や関東大震災後の再建の際、地元の篤志家らから寄付を受け、戦時の接収も乗り越えて節目の日を迎えた。
1911年7月20日、当時の鎌倉小学校の敷地内に「鎌倉町立図書館」が誕生。図書千冊と建築費千円を拠出した実業家、東郷慎十郎さんら、多くの寄付により設立された。
23年の関東大震災で倒壊したが、36年には御成小学校の敷地内に新図書館が開館。この時も銀行家、間島弟彦さんの遺志による寄付などが支えた。
戦時中の44年には軍に接収され一時閉館となり、46年に再開。その後「鎌倉市図書館」と改称し、市内各地域に図書館をオープンさせるなどして現在に至っている。
この日の記念式典では、国立国会図書館の長尾真館長が「図書館は情報や知識を得るだけでなく、生涯学習の拠点や人が出会う場であることが求められており、その取り組みは称賛に値する。図書館をよくするのは利用者や住民。一層の努力による発展を願います」とあいさつ。
感謝状を受け取った東郷慎十郎さんの孫でジャズシンガーの輝久さん(68)は「祖父と直接会ったことはない。本や資金を寄付していたことも今回初めて知り、逆に昔のことを教えてもらった」と話していた。
写真や資料などが並ぶ100周年記念展示は24日まで、鎌倉生涯学習センター(同市小町)で開かれている。午前9時~午後5時(24日は午後3時まで)。
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