美術館や博物館などで働く学芸員の仕事や現状について考える講演会が25日、横浜市都筑区中川中央の市歴史博物館で開かれた。県博物館協会と同館の主催で、市民ら約130人が参加した。
「変わりゆく美術館」と題して基調講演した国立国際美術館(大阪市)の山梨俊夫館長は、公立美術館の開設が増え始めた1970年代後半以降に多く雇われた学芸員が定年退職の時期を迎えている現状を説明。にもかかわらず、「自治体財政の悪化などで欠員補充の学芸員は非正規職員が多くなり、多忙になった」と現場の厳しさを指摘した。
さらに「財政状況の好転は見込めず、作品購入の予算も少ない」と述べ、地域美術の発掘などを今後の役割として提唱した。
続いて、県内の学芸員がそれぞれの現場について報告。川崎市市民ミュージアム学芸室長の望月一樹さんは、新年度から同館に指定管理者制度が導入されることなどを説明した。「事業展開の中で得たノウハウやネットワークは館の大切な財産。地域との関係構築には時間がかかるので継続性が重要。後世に伝える役割を担うのが学芸員だ」と訴えた。