生活保護を受給している男性破産者が売却した不動産代金を横浜市が生活保護費の返還名目で優先的に回収した行為は、破産法で禁じられた偏頗(へんぱ)弁済(特定の債権者に偏った不公平な弁済)に当たるとして、男性の破産管財人が市に回収代金約500万円を返すよう求めた訴訟で、市は24日、全額の支払いを命じた横浜地裁判決を不服として、東京高裁に控訴することを決めた。
判決は、市は男性が支払い不能の状態であると知りながら返還を受けたと認定。「不動産の売却代金は破産財団に帰属する財産」とし、市の回収は偏頗弁済に当たるとした。
市は控訴理由を「生活保護費の給付と返還義務は一体不可分の関係にあり、債権者平等の原則を害するものとはいえない」としている。