1. ホーム
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 〈時代の正体〉「安倍政権はルールねじ曲げている」 南スーダンPKO巡り1100人が抗議

〈時代の正体〉「安倍政権はルールねじ曲げている」 南スーダンPKO巡り1100人が抗議

社会 | 神奈川新聞 | 2017年2月17日(金) 19:41

国会前で、南スーダンへの自衛隊派遣に抗議するデモの参加者ら=17日午後8時ごろ
国会前で、南スーダンへの自衛隊派遣に抗議するデモの参加者ら=17日午後8時ごろ

【時代の正体取材班=田崎 基】陸上自衛隊の南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣の中止や、稲田朋美防衛相の辞任を求める抗議行動が17日夜、国会前で行われた。主催者発表で約1100人が詰めかけ「憲法守れ!」「自衛隊の命を守れ!」と声を上げた。野党各党幹部が駆け付けたほか、政治学者や市民団体メンバーがマイクを握った。

 「安保関連法に反対するママの会」の発起人、西郷南海子(みなこ)さんは「安倍政権はやりたいことをやるためにルールをねじ曲げている。そうしたことが起きないように憲法がある。いま政治は大きなウソをついた方が勝ち、という状況。状況を変えなければいけない」と呼び掛けた。


スピーチする「安保関連法に反対するママの会」の発起人、西郷南海子(みなこ)さん
スピーチする「安保関連法に反対するママの会」の発起人、西郷南海子(みなこ)さん

 防衛省が廃棄したとしていた南スーダンでのPKO活動に関する文書が一転して保管されていた問題では、統合幕僚監部が日報を発見した後1カ月余りも稲田防衛相に報告していなかったことや、日報に政府が法的に認めていない「戦闘」という表現があったことで、野党が追及を強めている。

 政治学者の山口二郎法政大教授は「国会でむちゃくちゃなことがまかり通っている。言葉が壊されている。一体誰のために自衛隊を派遣しているのか。結局は武器を使いたい、自衛隊を海外に派遣したい。それだけではないか。立ち上がらなければいけない」と声を張り上げた。


南スーダンへの自衛隊PKO派遣に抗議するデモ参加者ら=17日午後8時ごろ
南スーダンへの自衛隊PKO派遣に抗議するデモ参加者ら=17日午後8時ごろ

 民進党の後藤祐一衆院議員(16区)は「PKO5原則の中で『安全が確保されなければ撤退できること』という項目がある。だがどうやって安全性を判断するのか。現場からの情報を基に判断しないでどうする。国連は危険と警告している。もはや撤収しなければいけない」と強調した。

 社民党の福島瑞穂参院議員、共産党の小池晃参院議員もスピーチし、問題を訴えた。24日も同様の抗議集会を行う予定。

国会前で再び声上げる

あの夏を継ぐ日下部さん

 防衛省が廃棄したとしていた南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に関する文書が保管されていた問題に「どう考えてもおかしい」と声を上げ始めた男性がいる。都内に住む会社員の日下部将之さん(42)。問題が発覚した3日後の10日、国会前で抗議しようと呼び掛けた。「政治に対し腹立たしいことが起きたとき、声を上げる場が必要」。それは2015年の夏、安全保障関連法制への抗議行動にかかわり、胸の内に生まれた衝動だった。


国会をみつめコールする日下部さん=17日午後8時ごろ
国会をみつめコールする日下部さん=17日午後8時ごろ

 辺りは闇夜に包まれた午後8時、続々と国会前の歩道に人が集まる。手には、〈私たちは、自衛隊員の南スーダン派遣に反対します〉〈稲田防衛相は辞任せよ〉と書かれたプラカード。「憲法守れ!」「派遣をやめろ!」。コールが繰り返される。学者や学生がスピーチする。

 抗議行動は10日に続き17日も行われた。呼びかけの先頭に立つ日下部さんは言う。

 「誰がやるの? 主催は? そうした両にらみで、安保法成立から1年半余り、動きが止まっていた感じがする。それは私だけでなく、周りもきっとそうだった。形を整えればきっと来てくれる。そう思って呼び掛けた」

 気付けば初回の10日は約500人、17日は約1100人が国会前に詰めかけた。


南スーダンへの自衛隊PKO派遣に抗議するデモ参加者ら=17日午後8時ごろ
南スーダンへの自衛隊PKO派遣に抗議するデモ参加者ら=17日午後8時ごろ

 

支える側から


 市民運動に参加するようになったのはそう昔のことではない。11年3月11日。東京電力福島第1原発事故が起き、その後政府の対応や既存原発の再稼働を巡って「官邸前」での抗議が大規模化していた。

 「政府がやろうとしていることはおかしい」。声を上げている人がいると知って駆け付けた。やがて、ヘイトスピーチ(差別扇動表現)に抗議するカウンターの活動や、特定秘密保護法、安保法制に対する抗議行動に加わるようになった。


国会前でのデモを呼び掛けている日下部さん=2月17日午後9時ごろ
国会前でのデモを呼び掛けている日下部さん=2月17日午後9時ごろ

 大きな転機は、15年7月15日。安保法制に反対していた学生団体「SEALDs」(シールズ、16年8月15日解散)が3日間連続で国会前で声を上げると知ったときだ。

 「暑いさなか、すし詰めにされて、熱中症になる人もいるだろう。なんとかしなければ」。デモの現場で給水を担当する団体「東京給水クルー」(TQC)を立ち上げ、代表に就いた。

 「シールズには抗議に集中してもらいたい。国会周辺には自動販売機もない。のどが渇いて帰る人もいるかもしれない。周辺の状況を知らない人が数多く訪れ、倒れるような人が出れば、それがデモ自体への批判につながりかねない」。30人余りが快諾し、デモを支えるようになった。

 

「人ごと」許さぬ


 あの夏から1年半がたった。

 「あり得ないだろ」。再び立ち上がったのは、安保法制に基づき、武器使用の新任務を付与され南スーダンに派遣されている自衛隊が、戦闘に巻き込まれる可能性が高いからだ。


「誰も殺すな」と書かれたプラカードを手にするデモの参加者=2月17日午後8時半ごろ、国会前
「誰も殺すな」と書かれたプラカードを手にするデモの参加者=2月17日午後8時半ごろ、国会前

 それにもかかわらずテレビに映る稲田朋美防衛相は「日報の廃棄は法的に問題ない。隠蔽(いんぺい)ではない」と言い、

日報に記載のあった「戦闘」についても「法的には戦闘行為ではない」と言う。

 「なんと名付けようが、戦場に自衛隊が送られているという現実に変わりはない。では一体、政府は何を守りたいのか。結局『PKO派遣』という状況を維持したいだけではないか」。憤りを押し殺すように訥々(とつとつ)と、この国の不条理を解く。

 特定秘密保護法が施行され、集団的自衛権の行使容認が閣議決定され、安保法制が強行採決された。

 布石はこれまでも打たれ続けてきた。

 「だが、今回ばかりは違う。戦場に送られた自衛官が直接命を奪われたり、奪ったりしてしまうかもしれない緊迫した状況が南スーダンにある」

 それにもかかわらず稲田防衛相の口ぶりは、銃弾の飛び交う現場から遠く離れ、人ごとのようだ。「事は、人の生き死にに関わるのに、あまりに軽い」

 連日、日報問題が報じられ、政府のずさんな文書管理、憲法を軽視した木で鼻をくくるような答弁が繰り返される。「神奈川新聞のツイッターまとめをみて動かなければと決めたんです」と笑う。

この記事は有料会員限定です。

月額980円で有料記事読み放題/100円で24時間読み放題のコースも。詳しくはこちら

南スーダンに関するその他のニュース

社会に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング