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処分保留で88歳釈放 港南・小1死亡事故

社会 | 神奈川新聞 | 2017年2月17日(金) 17:58

 横浜市港南区で昨年10月、集団登校中の小学生の列に軽トラックが突っ込み1年生の男児1人が死亡、7人が重軽傷を負った事故で、横浜地検は16日、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の疑いで逮捕・送検され精神鑑定を受けていた軽トラックの無職男性(88)を処分保留で釈放した。今後、在宅のまま捜査を継続する。

 同地検の片岡敏晃次席検事は「現時点では、起訴するに至る証拠が集まらなかった」と説明。今回の釈放については拘留期限を迎えたための措置とし、今後も必要な捜査を尽くして起訴の可否を慎重に見極める方針を示した。

 3カ月間にわたって行われた専門医による精神鑑定の結果や、男性の認知症の有無については「明らかにできない」とした。

 捜査関係者によると、男性は事故前日の朝に自宅を出て以降、高速道路を出入りしながら横浜、川崎市内や都内などを走行し、事故現場に差し掛かったとみられる。男性は事故に至るまでの走行ルートを詳細に説明できないほか、衝突前後の様子についても供述が二転三転していた。

 こうした状況から、地検は認知症の有無も含めて男性の事故当時の精神状態を解明する必要があると判断。10日まで鑑定留置し精神鑑定を進めてきた。

被害家族「釈然としない」



 事故で重傷を負った長女(11)と長男(9)の父親(45)は神奈川新聞社の取材に応じ、「何が原因で(容疑者の男性が)処分保留となったのか客観的に知りたい。起訴でも不起訴でもない中ぶらりんな状態で釈放されて『世の中に出る』のは釈然としない。どう判断すれば良いのか、整理できない」と複雑な心境を明かした。

 事故後、長男は5日ほどで退院したが、事故の記憶がない。長女も時折冗談を口にするなど、一見普通の生活を送っているように見えるものの、突然泣きだすなど精神的に不安定な状態が続いている。

 事故は妻が二人を通学路の途中まで送り、自宅に引き返し始めた直後に起きた。以来、妻は必ず毎日子どもたちを学校まで送っていくようになった。「あの時も自分が学校まで送っていれば、との思いがあるのでしょう。精神的に参ってしまっている」。家族を気遣う父親自身、事故現場には事故後、一度も足を踏み入れていないという。「どうしても事故のことを思い出してしまう」からだ。

 事故を起こした男性に対しては「謝罪も何もない状態が続いている。厳罰を受けて償ってほしいという気持ちは変わらない」といい、「事故がなぜ起きたのか。何も明らかになっていない」と憤る。

 今回の事故が全国で相次ぐ高齢ドライバーによる交通事故の未然防止策を考えるきっかけになれば、とも願う。「不起訴になってあきらめるようなことにはなってほしくない。過失がないとなれば、男性に免許を与えていたことをどう判断するのか。起訴しなければ、この問題は終わらない」

 
 

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