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とどけ被災地へ、悩みとともに一歩、楽器店の小さなチャリティーコンサート/横浜

社会 | 神奈川新聞 | 2011年3月18日(金) 22:31

チャリティーコンサートの思いを語る岩崎さん=横浜市神奈川区の楽器店「工房 MusicJump」
チャリティーコンサートの思いを語る岩崎さん=横浜市神奈川区の楽器店「工房 MusicJump」

楽器店を営む岩崎行雄さん(67)=横浜市磯子区=が小さなコンサートを開いたのは13日のことだった。「地震から3日目。騒がしいコンサートなど、やっていいものか」。東日本大震災は被害の全容さえつかめず、原発の不安も広がる。迷った末に思いついたのが、チャリティーだった―。

7組目のバンドが演奏し終えるのを見届け、岩崎さんは胸が熱くなった。「私たちにはこれぐらいしかできません…。でも、ありがとうございます」。募金の籠には千円札が幾重にもなってあふれていた。

横浜市神奈川区の六角橋商店街に構えた店の向かいで、毎月コンサートを開いてきた。商店街の活気づけにと始めたもので、機材とスタッフは自前で用意し、出演するのは知り合いのアマチュアバンドだ。

「今回は地震の直後。にぎやかに音楽なんか楽しんでいる場合じゃない。苦情だって来かねない。前の晩まで迷い続けた」

思いついたのが、チャリティーコンサートだった。

脱サラして店を持ち30年。楽器への人一倍の愛情に客は親しみを込め「偏屈おやじ」と呼ぶ。老境に差し掛かり、振り返ることも多くなった。「本当は去年で辞めるつもりだった。好き勝手やってきて、まだ楽器をいじっていたいと続けている」。自嘲気味に笑った先、テレビ画面が、震災で唐突に途切れてしまった無数の人生を映し出していた。

ここ横浜でも死がよぎったあの揺れは、思えば啓示ではなかったか。「私利私欲だけの人生はおしまいにしよう、と」。地響きの中、とっさに押さえたショーケースを放り出し、気付けば店の外に逃げ出していた。

ロックや弾き語りに聞き入ったのは10人ほど。通りはいつも以上に寂しかった。それでも「東北地震チャリティーコンサート」と書かれた看板を見上げ、お金を入れてくれた人もいた。3万170円が集まった。「盛り上がってたね」。顔見知りの肉まん屋が声を掛けてくれた。

出演者の1人に岩手県在住のプロミュージシャンがいた。ツアー中のため、被災を免れた。マイクを握ると「今日だけじゃなく、この先も支援をお願いします」と頭を下げた。

ハッとさせられた。「思いつきでコンサートをやったけど、被災地はこの先ずっと大変なんだ」

次回4月17日もチャリティーと銘打つつもりだと岩崎さんは言う。「その先もずっと続けていくよ」。店は、そのためにも続けていくことになる。

「とどけ 被災地へ」では被災者に寄せる人々の思いを描いていきます。被災地に届けたい思い、発信したい情報を募集します。ファクス=045(227)0150、または、ホームページ「カナロコ」からメールフォーム(/contact/entry3/20110317_coment.html)でお寄せください。

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