
ミャンマーの子どもたちの教育支援などに取り組む市民グループ「醒土舎(せいどしゃ)」(鎌倉市西鎌倉)が、子どもたちとの交流などを記録したDVDを作成した。県内の学校でこのDVDを用いた出前授業を行っていくという。代表の田端敏生さん(71)は「貧困の中にある子どもたちの笑顔や感性に触れることが、日本の子どもたちの刺激になれば」と話している。
醒土舎は1987年の設立。アジアなどの国々で国際交流事業を行ってきた。民主化に揺れるミャンマーとの関係は2002年、田端さんが日本向け観光ガイド養成講座の講師として訪れてから。小学校の校庭を使った「青空教室」で学ぶ子どもたちの笑顔や、上達の早さを目の当たりにして「この子たちは教育のチャンスを与えれば伸びる。この国を変えられるのは子どもだ」と思い至った。
文房具や衣類などの物資を支援する。郵送では子どもたちの手に渡らなかった経験から、現地で直接手渡す。また少数民族のカレン民族などが逃れている隣国タイの国境の町なども訪れ、手を差し伸べる。
しかし田端さんにとって、一方的な支援ではないという。「接するたびに新しい考え方を知ることができる。渡すものの10倍の“お返し”をもらっている気がする」と笑う。
DVDは約43分。ミャンマーやタイでのこうした支援や交流に加え、取り組みを紹介した鎌倉市内の小学校での授業風景が映し出される。今後、県内の小中学校を中心に上映したいと考えている。「ミャンマーの子どもたちの笑顔には、生まれてきたことへの誇りがある。年間約3万人が自殺する日本に住む子どもたちにぜひ見てほしい」
今年2月にはヤンゴンを訪れ、現地の教員らとの連携やパソコンの作動実験などに取り組む。「教育を受け、インターネットで世界を知ることが、ミャンマー民主化につながる。外国人だからこそ手伝えることがある」
昨年11月に民主化運動指導者、アウン・サン・スー・チーさんが自宅軟禁を解かれ、約7年半ぶりに自由の身となった。今年で支援を始めて10年目となる田端さん。自身が魅せられた国の将来をこう見据えた。
上映会などの問い合わせは、醒土舎電話0467(32)7497。
【】