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切り札は「門入道」、地域再生へ主婦らがストラップ作り販売/山北町

社会 | 神奈川新聞 | 2011年1月3日(月) 23:34

門入道のストラップ
門入道のストラップ

丹沢湖や中川温泉で知られる山北町の三保地区で、地元の低迷を打破しようと主婦たちが立ち上がった。切り札は、廃れた正月の魔よけ「門入道(かどにゅうどう)」。樹皮を削ったヌルデの幹にユーモラスな顔を描き、門に置く。これを現代風にアレンジし、かわいらしい携帯電話のストラップにした。ヌルデの別名はカツノキ。「恋愛や受験に、不況にも勝つ」。元気のない観光地を盛り上げようと張り切っている。

グループは「鬼嫁へろくり倶楽部」。20~50代の主婦を中心に女性38人が参加する。「地元の低迷状態に怒った嫁(鬼嫁)が、へろくり(地元の方言で、こまごまとした仕事)をして地域を立て直そう」と思いを込めた。

門入道は毎年1月4日、初めての山仕事の際、ヌルデやニワトコの木をとり、筆で人の顔や「へのへのもへじ」を描く。図柄は各家庭で違う。疫病などの害が家に入らないようにと玄関に置く。10日ほど後のどんと焼きで燃やす。

民間信仰に詳しい県立歴史博物館の鈴木通大専門員(63)によると、似た風習は静岡や山梨、長野の山村にあるが、県内では三保地区にのみ伝わる。「都市化や医療の進歩で疫病がなくなった。目に見えないたたり神が意識されなくなり、廃れた」

グループには地区外から嫁入りした人が多い。海老名や平塚など県内をはじめ、東京・田園調布の人もいる。佐藤直美さん(49)は千葉県我孫子市の出身。町おこしに利用できるものはないか。へろくり倶楽部で話し合う中で、佐藤さんの頭に浮かんだのは、10年ほど見ていない玄関先のあの顔だった。「地元の人には当たり前でも、外から来た私たちにはインパクトがあった。観光客にも受けるはずだ」

古老を回り、顔の図案を集めた。持ち運びできるように材料は幹ではなく枝。アイデアを出し合い、頭に鉢巻きを着け、ビーズや鈴で飾り付けた。シンプルなミニチュアや絵はがきも作った。旅館やイベントに置いてもらい10万円ほど売り上げた。

倶楽部代表の湯川操さん(42)は「補助金で箱物を建てる時代は終わった。国や県といった行政に頼るのではなく、地域に埋まった宝物を発掘して、町おこしにつなげたい」。

昨年の暮れにはカツノキを地元の各家庭に配った。それぞれで顔を描き、玄関に飾ってもらう。「風習としても復活させたい。子どもたちに次の世代に伝えてほしい」。新年の4日、三保地区の家々で懐かしい顔たちに出会える。

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門入道のストラップを作る鬼嫁へろくり倶楽部のメンバー=山北町・三保地区
門入道のストラップを作る鬼嫁へろくり倶楽部のメンバー=山北町・三保地区

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