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【新説】高まるリスク 元禄関東地震周期3000年ではなく800年か 12メートル大津波「想定の見直し必要」

社会 | 神奈川新聞 | 2016年8月24日(水) 16:48

房総半島に残る相模トラフ巨大地震の痕跡。下段が関東大震災、上段は元禄関東地震で隆起した 千葉県館山市
房総半島に残る相模トラフ巨大地震の痕跡。下段が関東大震災、上段は元禄関東地震で隆起した 千葉県館山市

 相模湾周辺に延びる相模トラフで江戸時代に起きた関東最大級の巨大地震「元禄関東地震」を巡り、新たな知見が相次いで示されている。地震や津波の規模が従来の解釈を上回るとの研究成果が出されたほか、同じタイプである「元禄型」の発生間隔が800年程度と、定説よりかなり短い可能性も浮上。いずれも巨大地震のリスクが増す方向の見解であるため、対策や想定の見直しが必要とも指摘されている。

 プレート(岩板)が沈み込んでいる影響で地震を起こすエネルギーが蓄積されている相模トラフでは、マグニチュード(M)8級の巨大地震が繰り返し発生してきた。直近は死者・行方不明者が10万5千人を超えた1923(大正12)年の関東大震災(M7・9、大正関東地震)。その一つ前だった1703(元禄16)年の元禄関東地震(M8・1~8・2)では、津波の犠牲者が房総半島だけで6500人以上に上ったと伝えられる。

 将来を見越した場合、関東大震災の再来タイプである大正型はおおむね200~400年周期。一方、より規模の大きい元禄型は2千~3千年周期とみられているが、外房以外では発生当時の記録が乏しく、未解明な点が多い。

 そうした中、東北学院大の柳澤英明准教授らのチームは元禄の津波に関する史料を発掘し、房総東端の銚子に10メートル級の津波が押し寄せていたことを解明。地元の寺社に残る古文書やヒゲタ醤油(しょうゆ)創始者の日記に「大地震、津波上がり」「津波は君が浜より大池に水入る」といった記述があり、該当する現在地を探して痕跡高を推定したところ、12メートル近くに達していたことが分かった。

 これまで考えられていた元禄関東地震の発生領域ではこれほど高い津波にはならないため、震源域を房総半島の120キロ沖合まで広げて試算した結果、古文書と同じ地点に津波が到達することが判明した。これにより、当時の地震規模がM8・3に迫っていたことが明らかになり、柳澤准教授は「想定の見直しが必要」と指摘している。

 元禄型の周期についても新説が登場している。

 
 

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