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恵みの海「江戸前」再び 東京湾、水質改善を汚染 仕組み解明へ調査

社会 | 神奈川新聞 | 2016年8月24日(水) 10:57

水質を測定する観測機器を手にする海上保安官=3日、横浜・本牧沖の「はましお」船上
水質を測定する観測機器を手にする海上保安官=3日、横浜・本牧沖の「はましお」船上

 かつては多種多様な魚介類が生息していた東京湾。豊かな海への再生に向けた産学官のプロジェクトが進んでいる。汚濁のメカニズムを解き明かすため、毎年8月を中心に湾内や流域で水質などの一斉調査を行い、水質環境データを蓄積している。快適に水遊びができ、季節ごとに旬を迎える「江戸前」を堪能できる恵みの海へ、再び-。

 東京湾環境一斉調査は国土交通省港湾局が事務局を担う東京湾再生推進会議モニタリング分科会や、九都県市首脳会議の委員会専門部会などが主催して2008年度から毎年実施。海上保安庁や環境省など国の機関や自治体、企業、市民団体、大学・研究機関が一斉に調査を行うもので、16年度は計124機関が参加を予定している。

 第3管区海上保安本部(横浜)は今月2~4日、同本部所属の測量船「はましお」(27トン)が湾内19地点で水質調査を行った。

 調査地点の一つ、横浜市中区の本牧ふ頭沖で海上保安官が観測機器を海中に降ろし、水温や塩分のほか、水に溶け込む酸素量を示す溶存酸素量などを測定。直径30センチの白色円板を沈めて透明度を調べた。

 京浜工業地帯を擁する東京湾は高度経済成長期の1970年代、産業排水の増加や埋め立てなどで水質汚濁が進み「死の海」とも呼ばれた。同本部海洋調査課の杉山伸二課長によると、湾内の水質は当時に比べれば改善傾向にあるとはいえ、2008年からは横ばいの状況が続いているという。

 その理由として、水質汚濁の要因の7割が台所や風呂、トイレなど日常生活の営みから出される生活排水で、規制の強化や排水処理技術の向上などで改善が進んだ産業排水よりも大きな原因となっている。湾口が狭い構造から外海と海水が交換されにくいという点もある。

 東京湾に注ぐ河川は60以上あり、流域面積は8千平方キロメートル。流域には全人口の2割に当たる約2600万人が暮らす。杉山課長は「一人一人が流す汚れは小さなものでも東京湾に集まると大変な量になる。東京湾の再生に向けて、流域に暮らす皆さんに関心を持ってほしい」と呼び掛けている。

 
 

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