ヘイトスピーチによる被害を訴えてきた川崎市川崎区の在日コリアン3世崔(チェ)江以子(カンイヂャ)さん(43)は9日、インターネット上で誹謗(ひぼう)中傷にさらされているとして川崎署に相談に訪れ、防犯パトロールの実施を求めた。差別ツイートは増え続け、家族を含めて危害が加えられる恐怖を募らせている。
昨年11月に川崎区桜本でヘイトデモに抗議したのを機に名指しの差別的言動がネット上にあふれるようになった。崔さんの画像とともに「嫌なら即刻出てけ」と排斥を叫ぶものから、「原因菌は元から断たないとダメ」「あなた方に消えてほしいと願っている」と殺害を想起させる書き込みまでが続く。
崔さんは「書き込みをしている人が誰か分からないのに、自分は相手に特定され、職場もさらされている。自力では気の付けようがない」と相談に踏み切った。相模原市で起きた障害者施設殺傷事件もきっかけになったといい、「障害者が『いなくなればいい』という思いが、容疑者にあれだけの行動を起こさせた。ネットであおられた模倣犯が現れないかと恐怖を覚えている」と話す。
崔さんは自宅や職場、子どもが通う学校の周辺などで防犯パトロールを求め、同署は実施を前提に方法などを検討すると回答した。
ネット上の差別的言動についてはヘイトスピーチ解消法の付帯決議で対策の実施がうたわれており、崔さんは近く法務省に対処を求めることにしている。