相模原の障害者施設殺傷事件を受け、県内の知的障害者の親などでつくる県手をつなぐ育成会は8日、入所施設の職員体制の見直しなど求める提言書を黒岩祐治知事らに提出した。
「被害の甚大さと異常さに、言葉にならない驚きと無念の思いに襲われる」とする提言では、入所施設について「安全重視の観点から再び閉鎖的になれば、共生社会への道が後退する」と指摘。職員が意欲を持てる職場環境の整備をはじめ、差別や偏見を増幅させない共生社会の実現に向け、教育や福祉、医療、司法などが連携し社会全体で教育環境の在り方や障害者を支える体制を考える検討会の設置を求めた。
自閉症の長男(44)がいる依田雍子会長(74)=藤沢市=は「特異な人物による特異な事件として片付けたら風化も早くなる。『許せない』という思いを一歩超え、具体的な一つ一つの問題をみんなで考えていきたい」と訴えた。
県重症心身障害児(者)を守る会も8日、県庁で会見し、「被害者である障害者がおびえて暮らすようなことに絶対にならないよう、全力を尽くす」とする声明文(2日にホームページに掲載)をアピール。伊藤光子会長(74)は「できることがあれば、ぜひ手伝わせていただきたい」と園関係者との連帯を強調した。