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継承71年目の夏
自分も何か伝えたい 若者が考えるヒロシマ

社会 | 神奈川新聞 | 2016年8月6日(土) 11:36

企画した久保田さん(右)と学生ボランティアの宮野さん=みなとみらいギャラリー
企画した久保田さん(右)と学生ボランティアの宮野さん=みなとみらいギャラリー

 1945年8月6日の広島原爆投下の記憶を、戦争を知らない世代が受け継ぐ催し「第三世代が考えるヒロシマ『 』継ぐ展2016」が8日まで、横浜市西区のみなとみらいギャラリーで開かれている。市内の大学生も戦争体験者へのインタビュー取材などで参加した。

 企画したウェブデザイナーの久保田涼子さん(33)は広島出身。90歳の祖母は爆心地から約2キロの自宅で被爆したが、体験を孫に語ることはほとんどなかった。3年前、原爆投下後の広島を描いた「父と暮せば」の朗読劇を演じる知人の女優から、広島弁の指導を依頼されたのを機に、「自分は何も伝えようとしてこなかった」と気づいた。同年代のアーティスト仲間約30人とともに戦後70年の昨夏、初めて都内で継ぐ展を開いた。

 2回目となる今回は、広島大の学生のほか、横浜市内の大学に通う学生も参加。被爆者らへの取材を行って、会場のパネルやウェブサイトで報告した。

 神奈川大2年の内田佳奈さん(19)は、県内在住の被爆者3人に話を聞いた。身内を10人も亡くした人、焦土の中で焼けた弁当箱を見つけ、焦げていない白飯をむさぼった人。悲惨で残酷な体験を聞き、「若者は自主的に過去を学んでいかなければならないと思った」。同大3年の鈴木康弘さん(22)も「これからの8月6日には、体験を聞かせてくれた被爆者の顔を思い浮かべながら、現在の平和をかみしめたい」と話す。

 横浜開催にちなみ、関東学院大4年の宮野健人さん(21)は、80代の男性から横浜大空襲の体験を聞いた。電車の中でつり革にぶら下がったまま亡くなった人など、多くの遺体を見ながら逃げ惑ったとの証言を聞き、「細かい体験談は戦争の恐怖をリアルに伝える。友達などにも伝えていきたい」と話す。

 会場には、平和のメッセージを映像の川に流す仮想空間のとうろう流しなど、若者が興味を持ちやすい仕掛けも多い。久保田さんは「タイトルの『 』の中を空欄にしたのは、何を継いでいくか各自で考えてほしいから。若い世代も自主的に戦争や平和について考える機会になれば」と来場を呼び掛けている。

 入場無料。午前11時~午後7時(8日は同5時まで)。問い合わせは実行委員会電話080(1916)8638。


戦争体験者への聞き取りを行った学生ボランティアの(左から)宮野さん、鈴木さん、内田さん(神奈川大学提供)
戦争体験者への聞き取りを行った学生ボランティアの(左から)宮野さん、鈴木さん、内田さん(神奈川大学提供)
 
 

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