
女性の就業率の上昇に伴い、紳士服業界がレディーススーツをはじめとした女性向け商品に力を入れている。女性管理職も一層の増加が見込まれており、各社は新ブランドや専門店舗を展開するなどして、多様化する需要とレディース市場の拡大に対応している。
昨年10月に女性向けの「エレガンスライン」を新設したAOKI(横浜市都筑区)。県内のほかオフィスに近い都心など約100店舗で取り扱いを始めた同ラインは、高級感を演出する光沢や袖通しのよさに加え、名刺などのビジネスアイテムが収納できる内ポケットが付く機能性を実現した。「営業や管理職に就く20代後半~40代の女性を中心に支持されている」(担当者)といい、売り上げは計画比約3割増と好調に推移している。
青山商事(広島県)も、30~40代を対象にした新ブランド「パリシマユキトリイ」を同月に立ち上げ、幅広い年齢層の需要に対応。昨年2月以降には女性専門店「ホワイト・ザ・スーツカンパニー」を川崎・武蔵小杉など県内外にオープンした。「働く女性の増加でレディーススーツ市場は大きな成長が見込める」ことが出店の背景にあり、販売は計画に対し約2割増とやはりニーズの高さがうかがえる。
コナカ(同市戸塚区)も、ビジネス、キャリア向けのほか就職活動やフレッシャーズといった幅広いターゲットを意識した女性向けブランドを打ち出しており、「フォーマル・レディーススーツを中心にブラウスやパンプスなどの関連アイテムを強化している」と担当者は話す。
各社とも、レディーススーツの売上高は伸長傾向にあると口をそろえる。コナカは「最も重要なアイテムの一つで、女性客も年々増加している」。青山商事も「レディースの売り上げは毎年前年比10%以上伸びている」とし、一層進む女性の社会進出でキャリア女性向けスーツが最も伸びしろの大きい商材と予想する。
AOKIの2016年3月期のレディース衣料の売上高構成比は、前期比1・2ポイント増の16・4%。約20%を目指す同社は、達成に向けキャリアアイテムを強化。仕事関係の葬祭の場で着用する商品の需要も増えているといい、礼服として用いる黒のフォーマルスーツも重要なアイテムと位置づけている。「世の中の流れとしても、キャリア女性向けのスーツ市場は拡大が続くと期待している」と担当者。働く女性のさらなる取り込みを図っていく考えだ。