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相模原殺傷事件
命の重み変わらぬ 犠牲の家族、強い憤り

社会 | 神奈川新聞 | 2016年7月29日(金) 14:27

回復した息子と面会した母(左)と父=28日午後
回復した息子と面会した母(左)と父=28日午後

 最愛の家族が生きながらえたことに対する喜びばかりでは、決してない。19人が殺害された相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」の殺傷事件で重傷を負い、どうにか命をつないだ被害者の家族が28日、苦しい胸の内を明かした。なぜ、こんな事件が起きなければならなかったのか。犠牲になった人たち、その家族の無念はいかばかりか。強い憤りとやるせない思いを抱えている。
 
 「〇〇ちゃん、パパとママが来たよ」。大けがを負った相模原市緑区の男性(51)は、治療を受けている伊勢原市内の病院でそう呼び掛けられると、手を握り返して応えた。事件から2日たった28日、意識を回復した。

 「ほっとした。本当に長い時間に感じた」。男性の手のぬくもりを感じた父(82)と母(79)は「家族だと分かり、目で追ったみたいだった」と胸をなで下ろした。

 事件当夜、西棟1階にいた男性は、胸や首を刺された。搬送先の集中治療室で対面したときは人工呼吸器を装着し、包帯姿だった。

 「怖かったと思う。かわいそうで仕方がない」。そのときの心境を振り返る男性の母はこの日、「早くよくなって、またうちに帰ろうね」と励まし、病院を後にした。

 知的障害がある男性は、20年前に津久井やまゆり園に入所。「ドライブに行ったり、相撲観戦に行ったり。面倒見がいい施設だった」。月に3回ほどは実家に戻り、クラシックなど音楽鑑賞を一緒に楽しんだ。男性が幼いころは養護学校の送迎など苦労もあったが、受け答えが難しい中でも、家族に対して信頼したしぐさを見せるようになるなど、成長の喜びを感じる場面がたびたびあった。

 そうした何げない日常を踏みにじった元職員による殺傷事件。男性の両親は「本当に許せない。入所者は知っている人ばかりで、みんな仲間。亡くなった方やご家族のことを考えると、いたたまれない」と声を落とした。

 重傷を負った入所者の女性(45)もこの日、集中治療室から一般病棟に移った。藤沢市内の自宅で取材に応じた父(76)は「無抵抗な人を狙うなんて許せない」と怒りをあらわにした。

 重傷を負った女性は首4カ所を刺され、最も深い傷は4センチに達していた。搬送されたのは都内の病院。父が駆け付けると、女性は輸血を受け、首に巻かれた包帯は赤く染まっていた。「うー、うー」と、うめき声を上げていたが、父は「命があってほっとした」。そっと女性のほおに手を当て、「頑張れよ」と声を掛けた。

 重傷を負った女性も約20年前に入所。「これまで事故一つもなかった。まさかこんなことになるなんて…」。信頼を寄せていた施設の元職員による凶行に戸惑いを隠せない。「事件のショックが残らなければいいのだが」と女性の心情をおもんぱかり、沈痛な面持ちで話した。「遺族の方々のことを思うと、胸が張り裂けそうだ」

「助けて」が第一声


 「助けて」。相模原の障害者施設殺傷事件で被害者となった20代男性の、それが意識回復後の第一声だった。血液の5分の4を失い重体となっていたが、どうにか一命を取り留めた。

 重体の男女4人が運び込まれた東京医科大八王子医療センター(東京都八王子市)によると、男性は津久井やまゆり園の血だらけになった廊下で救急隊に発見された。新井隆男救命救急センター長は「頸動脈(けいどうみゃく)を切られ、搬送時には血液の5分の4が失われていた」と振り返る。

 首には5センチの傷が2カ所あった。頸動脈にカテーテルを入れて止血。人工呼吸と輸血を続け、事件のあった26日の夕方には意識を回復した。

 「助けて」と看護師に声を発したのは、人工呼吸器を外した後だった。精神発達遅滞の症状があるという男性。看護師が「大丈夫、ここは病院だよ」と答えると、安心した表情をみせ、

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