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ビートルズものがたり
人生を変えた出会い

社会 | 神奈川新聞 | 2016年7月17日(日) 10:29

 英国の音楽グループ「ザ・ビートルズ」が来日し、今夏で50年を迎えた。バンドとして日本を訪れたのは一度だけだったビートルズは1970年に解散したが、その楽曲はいまも世界中で愛されている。あまたの物語を紡ぎながら。

未完成の中にある魅力。

♪ビートルズリクエスト番組DJカンケさん
 ラジオ日本で放送中の「THE BEATLES 10」(毎週日曜午後11時)は公式曲213曲と、解散後に発表した23曲を対象に、毎週リスナーから聴きたい曲を集め、上位10曲を発表するリクエスト番組。ことし12年目を迎え、7月には放送600回を超えた。


DJのカンケさん=東京都港区のラジオ日本
DJのカンケさん=東京都港区のラジオ日本

 DJを務めるのは音楽家、カンケさん(52)。リアルタイムでビートルズの活動に触れていない“後追い世代”の一人だ。

 小学5年生の時、耳にした「ヘイ・ジュード」(68年)にノック・アウトされ、音楽の道に進んだ。音楽の成績は「2」だったが、地元・新潟県柏崎市の中学では吹奏楽部に入部。仲間と組んだバンドではギターやベースを担当し、プロを夢見た。
 「自分のことを5人目のビートルズと思っていた」。上京すれば道が開けると考え故郷を出たが、簡単ではなかった。30歳でCM音楽業界に入り、97年に手掛けた化粧品会社のCM曲が転機となり、33歳の時にメジャーデビュー。映画、音楽と幅広い知識が受け、テレビ番組などで引っ張りだこになった。

 2004年、ビートルズをテーマにした音楽番組を作ろうと声を掛けられた。

 「解説するだけでは面白くない。解散していないバンドとして扱うのはどうか。聴き手にリクエストを募ろう」

 最初は、「レット・イット・ビー」など“モンスターソング”ばかりが支持されるのではないか、半年ぐらいで終わるのではと弱気だった。しかし、メジャー曲に加え、通な曲にも投稿が集まり、流行に左右されないビートルズの魅力に、あらためて気付かされた。

 「現存しているのではないかと錯覚するくらいの熱を、ビートルズは持ち続けている。ひと言で言うなら、天才素人集団。でも神棚に上げるのではなく、いまの音楽として聴いてほしい。未完成さの中にある、音の余白も魅力。繰り返し聴いても飽きないし、聴き込むと発見もある」と愛を語った。

 今月10日の番組では、7日に76歳の誕生日を迎えたドラムのリンゴ・スターを特集。17日は上半期のリクエストの上位10曲を紹介、24日には来日50年を記念した特別版の第2弾を放送する。

なお冷めぬ熱

♪ビートルズショップ「トラックス・ジャパン」社長、加藤亮平さん
 横浜・関内にある「トラックス・ジャパン」は、ビートルズ関連商品を世界各地にあるネットワークを駆使して探し出し、依頼者に販売している。ハマっ子の加藤亮平さん(48)に取材を申し込むと、「いま、来日した時に着ていた法被があるよ」と朗報が。法被は50年前の6月29日午前3時40分、東京・羽田にやってきた4人が、JAL412便松島のタラップを下りる時に、そろいで着ていたものだ。

 事務所には、依頼を受けて探し出した品々が、新しい所有者へ向かうのを待っていた。この日は、50年前の6月30日に4人が日本で初めてしたというサインや、1963年11月4日に、英国のエリザベス女王やマーガレット王女ら皇族を前に行われた王室主催のコンサート「ロイヤル・バラエティー・ショー」に4人が出演した時のサイン入りのプログラム、デビューアルバムなど、「お宝」がたくさん並んでいた。

 「王室コンサートの時はジョン・レノンが、『安い席の人は、手拍子を。ほかの人は宝石をジャラジャラ鳴らしてください』とジョークを飛ばしてね」と愉快そうに笑った。

 加藤さんが、ビートルズを好きになったのは、中学1年生の時。2年生になった時には、聴きすぎて学校の成績が落ちるほどだった。82年には、いても立ってもいられず、ビートルズの4人が生まれ、暮らした英国のリバプールを、旅行会社のツアーで巡った。費用を捻出するため、朝は牛乳配達、夜はパチンコ店で掃除のアルバイト。中華料理店の接客など、ありとあらゆる仕事をして、親に借金もした。高校生ながら83年には単身で旅した。


ビートルズのお宝グッズを扱う加藤さん=横浜市中区
ビートルズのお宝グッズを扱う加藤さん=横浜市中区

 「当時は、いまのように観光地化されていなくて。第2次世界大戦の時にドイツ軍から受けた空爆の跡とか、戦争の爪痕が多く残っていた」。40万円の航空券を買うだけで精いっぱい。持ち金は少なかったが、街を歩き、4人が目にしたかもしれない記憶に思いをはせると、

 
 

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