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時代の正体〈356〉共闘の明暗(上)市民が動く選挙の形

社会 | 神奈川新聞 | 2016年7月13日(水) 16:13

当確の報を受け、市民と握手を交わす真山氏(中央)=10日午後11時7分、横浜市中区の事務所
当確の報を受け、市民と握手を交わす真山氏(中央)=10日午後11時7分、横浜市中区の事務所

 熱気に包まれた横浜市中区の事務所に、おなじみのコールが響き渡る。

 「マヤマ!マヤマ!」

 10日午後10時半過ぎ。民進党の真山勇一氏(72)が姿を現すと市民が次々と駆け寄った。歓喜の輪に、もみくちゃにされながら壇上に上がった真山氏は、満面に笑みを浮かべて言った。

 「毎日毎日、日増しに増えていく市民の皆さんの応援、もうこれでやるっきゃない、そういう思いに駆られてきました。大勢の市民の皆さんに支えられて、2期目の任務を与えられた」

 勝利の“第一声”で2度も発せられた「市民」という言葉に、会場は再び大きな拍手に包まれた。

 この日、戦況を見守ったのは国会議員や地元市議ら政党関係者だけではない。開票が始まる午後8時前から、事務所には続々と市民が訪れた。

 安全保障関連法に反対する市民グループ「ママの会@神奈川」の樋口敦子さん(51)は言う。「真山さんの選挙事務所が『一緒に開票を見守りませんか』と声を掛けてくれた。党員でもない普通の市民を、そんなふうに誘ってくれることがうれしかった」

 市民勝手連「ミナカナ」のメンバー松澤理佳子さん(51)もうなずく。「自分がこんなに主体的に選挙に関わったことも、こんなにドキドキしながら投開票を待つこともこれまでなかった」

 2人の横顔は、初めて経験した毎日の街頭活動でうっすらと日焼けしていた。
   ◇  ◇
 真山氏が出馬表明したのは4月下旬。県内の市民勝手連や市民グループが動き始めたのは、その直後からだ。

 「真山さんは企業や組織から応援を一切、受けないという。ならば、私たち市民が応援するしかない」と松澤さん。ポスター貼りやビラ配り、街頭演説の応援など、至る所で奔走した。だが「あくまでも個人として応援しているから」と、グループの横断幕や旗は立てなかった。

 この半年間で、野党共闘を呼び掛ける市民勝手連は県内で「ミナカナ」を含め八つ立ち上がった。

 全国に32ある「1人区」では統一候補の調整が進められていた。4人が当選する複数区の神奈川選挙区でも、「安倍1強」の現状に対抗するために、「候補者を絞り込んでほしい」と党本部や県連に要請してきた。だが、最終的に民進、共産、社民から4候補が出馬した。

 公示直前、市民勝手連が求める政策要望書に、野党4党が署名するところまでこぎ着けたが、どのグループが誰に投票するか、といった調整はしなかった。ミナカナの世話人で弁護士の武井由起子さん(48)は理由について「市民勝手連が大切にしてきたのは多様性。応援方法も選挙の戦い方も『みんな違って、みんないい』が基本だから」と話す。

 結果的に、市民目線を強調してきた真山氏の得票数は58万2127票。出遅れにもかかわらず、3番手に食い込んだ。激戦を勝ち抜いた勝因を問われると、真山氏は明言した。

 「見る見るうちに膨れ上がっていったのは、市民の方たちの応援だった。市民の力というのは、本当に大きかった。『市民派の選挙』が今回の勝利につながった」
   ◇  ◇
 日付が変わり、全国の選挙区で当選確実が出尽くし、残るは神奈川の四つ目の議席のみとなった。文字通り「混戦の神奈川選挙区」。浅賀由香氏(36)の陣営の事務所に詰め掛けた支援者たちはテレビ中継に注視し、じりじりと、そのときを待った。

 午前0時22分。NHKが生放送で「神奈川選挙区です。中西健治さん、当選確実です」と告げる。4人目の当選者が決まり、浅賀氏の落選が確定的となった。

 信じられないと、手で口を覆う。肩を抱き合い涙を拭う人の姿もあった。

 疲れた表情で額に汗を浮かべ、それでもさっそうと浅賀氏が会場に入った。


顔をくしゃくしゃにしながら駆け付けた市民と手を握り合う浅賀氏(左)=11日午前0時半、横浜市内の事務所
顔をくしゃくしゃにしながら駆け付けた市民と手を握り合う浅賀氏(左)=11日午前0時半、横浜市内の事務所

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