妊娠や出産に伴い、労働者が職場で嫌がらせや不利益な扱いを受ける「マタニティーハラスメント(マタハラ)」に関し、2015年度に神奈川労働局に寄せられた相談件数が前年度比17・1%増の446件に上ったことが30日、分かった。
そのうち男女雇用機会均等法に関する相談件数は243件で、セクシュアルハラスメント(セクハラ)を巡る相談件数(202件)を初めて上回り、過去最多となった。
同局に寄せられたマタハラを巡る相談は、12~14年度の3年間は380~410件程度で推移。増加の背景について同局は「妊娠を理由とした降格を違法とした14年の最高裁判決が広く知られ、潜在的な被害実態が相談件数に乗ってきたのでは」と推測している。
相談の内訳は、男女雇用機会均等法が禁止する「婚姻や妊娠、出産などを理由とする不利益な取り扱い」に関する相談が前年度比48件増の243件、育児・介護休業法が禁止する「育児休業に係る不利益な取り扱い」に関する相談が17件増の203件。また、前年度はなかった関連の是正指導が4件あった。
マタハラの判断基準について厚生労働省は昨年3月、「原則として妊娠・出産などから1年以内に女性が不利益な取り扱いを受けた場合は直ちに違法と判断する」と明確化して労働局に通知。さらに17年1月に男女雇用機会均等法と育児・介護休業法を改正し、マタハラやパタニティー(父性)ハラスメントの防止策を企業に義務付ける。