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横浜事件・国賠請求を棄却 東京地裁、違法行為は認める

社会 | 神奈川新聞 | 2016年7月1日(金) 02:00

敗訴判決を受け会見で悔しさをにじませる木村まきさん(中央)=30日午後2時半、東京・霞が関の司法記者クラブ
敗訴判決を受け会見で悔しさをにじませる木村まきさん(中央)=30日午後2時半、東京・霞が関の司法記者クラブ

 戦時下最大の言論弾圧とされる「横浜事件」の元被告2人の遺族が、国に計1億3800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は30日、取り調べの違法性や訴訟記録が裁判所によって廃棄された可能性を認めつつ、「当時は国が賠償責任を負う根拠がなかった」として請求を棄却した。横浜事件を巡る国家賠償請求に対し、判決が言い渡されるのは初めて。遺族側は控訴する方針。

 遺族側は、保管義務のある訴訟記録が敗戦直後に焼却されたとし、「記録の焼却で長期の再審闘争を強いられた」と訴えていた。

 本多知成裁判長は判決理由で、元被告が特高警察から受けた拷問は「当時の憲法下でも明確な違法行為」と認め、検察官や裁判官も拷問の事実を認識した上で1945年の有罪判決が言い渡されたと認定。再審請求時に判決などの訴訟記録が存在しなかったことについては、「裁判所職員による何らかの関与の下、判決言い渡し後に廃棄されたと推認できる」と指摘した。

 一方、当時は国家賠償法の施行(47年)前で「公務員の違法行為について国が賠償責任を負う根拠はなかった」と判断。再審に関わる裁判官の判断も「違法があったとは言えない」とし、免訴判決の確定で有罪が効力を失ったことで「元被告の名誉回復は一定程度実現された」と結論付けた。

 原告は、戦時中に「共産党の再建を企てた」などとして治安維持法違反容疑で逮捕され、敗戦直後に横浜地裁で有罪判決を受けた元中央公論編集者木村亨さん(98年死去)と、元南満州鉄道(満鉄)調査部員平舘利雄さん(91年死去)の遺族。請求から20年近くたった2005年に再審開始が決まり、08年に裁判を打ち切る免訴判決が確定している。

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