神奈川県立向の岡工業高校(川崎市多摩区)の放送部が、NHK杯全国高校放送コンテスト県大会の研究発表部門で優勝し、10年連続の全国大会出場が決まった。今回はドラマ撮影などに使うレフ板にライティング機能を加え、オリジナル機材を製作した過程を発表。「無い物をつくる」という工業高校らしさが評価された。
レフ板は撮影時に被写体へ光を反射させ、影を取り除いたりする道具。通常は照明器具を別で用意するため、人手が必要だったり、準備に時間がかかったりしていた。同部で使っていたレフ板が壊れたことを機に、レフ板自体にライトを付けた機材を開発した。
LED(発光ダイオード)ライトで赤・緑・青の光の三原色を出すことができ、レバーで光量を調節することで全ての色が再現できる。銀色や白色など板の色を変えることも可能で、電池とバッテリー式で持ち運びしやすく、1人で操作できるところが最大のメリットだ。電気科と機械科の部員が授業で習った知識を生かし、3週間ほどで完成させた。
12日の県大会では製作過程や活用事例をパワーポイントを使って紹介し、6校中で1位を勝ち取った。プロジェクトリーダーの電気科2年生、前田航大さん(16)は「配線が複雑で、一つでもずれるとショートしてしまうので大変だった」と振り返り、「夕焼けの場面ならライトをオレンジ色にするなど、いろいろな演出に使える。全国大会までに軽量化して活用事例も増やしたい」と意気込んでいる。
顧問の石井哲夫教諭(40)は「ありそうでなかったアイデア。放送部員が自ら開発して発表するというのは珍しく、自然と部の伝統になっている。研究内容を分かりやすく伝える訓練は将来にも役立つのでは」と話している。
全国大会は都内で来月26日から始まり、同校がエントリーする研究発表部門は27日に行われる。