横浜市戸塚区の自宅で昨年5月、81歳の祖母と50歳の母親を殺害したとして、殺人罪に問われた少年(16)の裁判員裁判が17日、横浜地裁(近藤宏子裁判長)で開かれた。検察側は、少年法の不定期刑の上限である懲役10年以上15年以下を求刑、弁護側は少年院への収容を求めて結審した。判決は23日。
検察側は論告で「祖母と母には何の落ち度もなく、保護処分を選択することは社会的に許容されない」と主張。弁護側は、犯行は衝動的で「原因として未成熟さと未発達さが挙げられる。少年院で更生させることはできる。反省するために教育が必要だ」と訴えた。
供述変遷 見えぬ動機
少年はなぜ、2人を殺害したのか。3日間の裁判を経ても、真相は明らかにならなかった。
少年は逮捕直後、「母と祖母から学校や勉強のことをがみがみ言われた」とし、口論になったことを動機と説明していた。だが、公判では「(警察に)動機を話さないと面倒なのでそう言った」と一変、「(動機は)ない」「過去のこと」と人ごとのような態度に終始した。検察官に「動機がないと、同じ事をするんじゃないか?」と問われると、「可能性としてゼロではない。そりゃそうだろ」といら立ちをあらわにする場面もあった。
17日の意見陳述で、「理由もなく2人の命を奪った。被告を一生許さない」と涙ながらに訴えた叔母の言葉は、16歳の心に響いたのか。最終意見陳述で「何か言っておきたいことがあれば」と発言を促された少年は、「ありません」と投げやりに応じた。