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県議会考
時代の正体〈336〉代表質問制限問題(上) ネットで話題求めた猛省

社会 | 神奈川新聞 | 2016年6月17日(金) 11:01

賛成多数となった決議案の採決=5月16日、本会議
賛成多数となった決議案の採決=5月16日、本会議

 県議会でミスや不手際を繰り返した共産党県議団への「猛省」を求める決議が行われてから1カ月。一時は共産に代表質問を行わせないようにすることが検討されるなど異例の展開をたどった今回の問題を3回に渡って検証する。初回は決議に至る経緯を議会内外から振り返る。

 「多数が少数を数の力で抑え込もうとする動きには断固として抗議する」。5月16日の本会議。共産団長の井坂新哉氏が決議案に対する反対討論を行うと、約100人が詰めかけた傍聴席から「そうだ」と賛同する声が上がった。

 傍聴者は可否表明や拍手を禁止されているため、土井隆典議長は再三注意。議員が議場から「出てけ、出てけ」と応酬する場面もあった。

 一方、決議案を共同提出した自民党、民進党、公明党、県政会、県進会の5会派は共産への厳しい批判を述べていく。

 「失態への対応を余儀なくされ、議会のチェック機能や政策提言に要する貴重な時間が大きく浪費された」(民進・作山友祐氏)
 「始めに主張ありきで、その政治姿勢が混乱の根本原因だ」(公明・佐々木正行氏)
 提出会派が抱く懸念を象徴するように、県進の赤野孝之氏は賛成討論にこう付け加えた。「県民のみなさまにも決議を諮るまでにおける背景をよくご理解、ご認識いただきますようお願いいたします」

発端


 発端は2015年7月の県民企業常任委員会だった。同委員会が計画していた海外視察を共産委員が「県民福祉の向上につながるとは言えない」と言い切り、全否定されたと受け止めた他会派が反発。その発言の是非や視察のあり方などの議論が議会運営委員会で継続され、共産と他会派の対立は深まっていく。同12月には別の委員会での共産の発言ミスも相次ぎ、その対応をめぐる協議は深夜まで及んだ。

 こうした混乱の責任を取る形で共産は今年1月に議運委員を差し替え、2月には同月の代表質問を辞退。事態の収拾を図った。

 これらを踏まえ、桐生秀昭議運委員長は3月22日に一連の問題を総括。だが、共産は2日後に本会議の討論で請願の賛否を間違え、自民は4月11日の議運委で共産の代表質問を制限することを提案した。議会運営のルールである「先例」の「代表質問は原則として交渉会派(4人以上)につき1人」という規定を例外的に取り扱うというものだった。

 これには共産も猛抗議。共産と他会派とで対立する構図の中で提案が現実になりかねない状況に、共産は4月15日に記者会見。議会の外に訴える道を選んだ。後の議運委で、土井議長は会見前の井坂氏とのやり取りを明かしている。

 土井議長「会見をしたら議論の場はなくなるよ」

 井坂氏「これはもうやめられません」

 会見では共産県議団と党県委員会の連名で「県民から負託を受けた議員と会派の発言権に関わる問題。到底納得できない」との声明を発表。共産と他会派の歩み寄りはもはや困難な情勢の中、5月11日の議運委を迎えた。

世論



 「神奈川県議会で何が起きているんだ?」。都内のパート女性(43)は同11日朝、仕事を休んで県議会に駆けつけた。インターネットのツイッターで共産の代表質問が制限されそうだと知り、驚いた。「ミスがあったというのは分かったが、それにしても代表質問の権利を奪っていいのか」。横浜市栄区の共産党員の女性(66)は「私たちの代表として発言してほしい人に投票している。これでは選挙の意味がない」と話した。

 議運委は同11~12日に断続的に開かれ、新たに共産の議員がブログに正式決定前の議事予定を書き込んだことも問題化。他会派幹部は休憩中の11日夜、「少数の意見は大事だし、なぜ代表質問の制限か、についてはうまく説明がつかない。でも、今までの経緯からして共産の尻ぬぐいはできない」とため息をついた。

 傍聴者控え室にも疲労感が漂っていた。横浜市磯子区の女性(75)は「一つの政党をそろって攻撃する姿にびっくりした。ひどいいじめだった」。

 12日午前0時50分ごろに始まった議運委では「出口から見るといかにも共産をいじめているようだが、積み重ねの中で、代表質問ができる交渉会派にふさわしくないというだけのことだ」(民進・斎藤健夫氏)などの意見が出る一方、井坂氏は「私たちが自らの発言について努力を続けないといけないが、それをもって代表質問の制限には当たらない」と主張。ネット上で話題になっていることについて「『レッドパージ』という批判が聞こえるが、そんなつもりでやろうとしている訳ではない」(自民・小島健一氏)という発言もあった。

 もはや振り上げた拳を互いに下ろせない状況に、桐生委員長が採決に入ろうとした際、土井議長が間に入り、「打開策の検討を」と促し、休憩に入った。同日未明には「神奈川県議会」というキーワードが入ったツイートが3万件を超え、昼には「民主主義を破壊するな」などと書いたプラカードを掲げた市民十数人も県庁前に集まっていた。

 同日夜、5会派は「議長の言葉を重く受け止めた」とし、共産に「猛省」を求める方向がまとまった。

 翌13日夜、前出とは別の会派幹部はこう漏らした。「ほっとした。代表質問の制限に踏み切れば、世論は味方しないと思った。大きな返り血を浴びるところだった」


【共産党県議団の議会運営に対し猛省を求める決議】
 共産党県議団は、本県議会における交渉団体として、議会運営を担う責任ある立場の会派であるにもかかわらず、本会議や委員会での誤った又不適切な発言など議会運営を停滞・混乱させる様々な事態を引き起こしてきた。

 このことに対して、同議員団が自主的に議会運営委員会委員を交替したほか、代表質問の辞退や、個別の事態に対する謝罪の表明を行った。こうした行為を会派としての反省と受け止め、本年3月22日、議運委員長が、議会運営を正常に戻し、議会の役割をしっかりと果たすため、それまでの経緯、協議内容を総括することにより、一応の事態の収拾を見たところである。

 しかしながら、その直後の本会議での討論において賛否の表明を誤ったほか、同議員団議員が自身のブログに不適切な内容を掲載するなど、議会運営に携わる交渉団体としては、不適格と言わざるを得ない事態を引き起こした。

 同議員団が原因となり、これ以上議会運営が混乱することは、県政に対するチェック機能、政策提言等、本県議会がその役割を十分に果たすことに支障を来たすものであり、伝統と権威ある本県議会として甚だ遺憾である。

 よって神奈川県議会は、同議員団に対し、交渉団体として重い責任を持つ会派であることを十分自覚し、その責務をしっかりと果たすことを求める。また、同議員団は、議会運営を混乱させてきたことを重く受け止め、再度このような事態を招いたときは、交渉の権利を有する団体の立場を辞する覚悟を持って議会運営に臨むとともに、これまで引き起こしてきた事態について猛省するよう求めるものである。

 以上のとおり決議する。

平成28年5月16日

神奈川県議会

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