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シッター、殺害否認へ 2歳男児死亡 10日に初公判地裁

社会 | 神奈川新聞 | 2016年6月9日(木) 10:07

男児の生前の写真を整理する母親。写真は常に持ち歩いているという=横浜市
男児の生前の写真を整理する母親。写真は常に持ち歩いているという=横浜市

 埼玉県富士見市のマンションで2014年3月、横浜市磯子区の男児=当時(2)=の遺体が見つかった事件で、殺人などの罪に問われたベビーシッターの男の裁判員裁判が10日、横浜地裁で始まる。被告側は男児殺害について全面否認し、争う方針だ。

 起訴された男(28)は、自室に連れてきた男児を窒息死させた殺人罪のほか、一緒にいた当時9カ月の弟に対する保護責任者遺棄致傷罪にも問われた。別の複数の幼児に対しても、裸の写真を撮影する児童ポルノ製造などを重ねたとされる。

 被告が複数の事件で起訴された場合、裁判員の負担軽減を目的に「区分審理」とすることがある。だが、関係者によると、今回の事件で検察側は一括審理を主張。「ベビーシッターを装って預かった子どもに撮影行為などを繰り返す中で、殺人にまで至ったというのが事件の本質。裁判員にはすべての事件を一体として判断してもらいたい」(検察幹部)ためだ。

 一方、被告の弁護団は「殺人罪や保護責任者遺棄致傷罪は成立しない」と争う姿勢だ。子どもも「わいせつ目的ではなく、ベビーシッターとして預かった」と反論している。

 公判は10日に始まり、判決は7月20日に言い渡される予定。

「なぜ」真実知りたい




母 悲しみ癒えず

 「なぜ、殺されなければならなかったのか。あの子の最期を少しでも知りたい」。初公判を前に男児の母親(24)が神奈川新聞社などの取材に応じ、愛息を失った悲しみが癒えない胸の内を明かした。

 事件から間もなく2年3カ月。母親は男児の遺髪が入ったペンダントを身に着け、写真も持ち歩いている。「守ってあげられなかった。本当にごめんなさい」。首に下げたペンダントに手をやり、自責の念を漏らす。

 シングルマザーの母親がベビーシッターを利用したのは、「仕事に出て少しでも家計が楽になれば」との思いからだった。約1カ月後に控えた3歳の誕生日にはディズニーランドへ一緒に行き、習い事もさせたい。ささやかな願いをかなえようと、飲食店でのアルバイトに出勤した。その2日半の間に、事件は起きた。

 あの男だと分かっていたら、預けなかったのに-。もともと、シッターは子育て経験のある女性を希望していた。事件前に被告に頼んだことはあったが、「協力している」という被告の母親に預けている認識だった。ただ、トラブルが重なり被告への依頼はやめた。

 事件のとき、仲介サイトを通じて連絡を取った「女性」に預けたつもりの男児と弟は、代役を介して被告のマンションに連れ去られていた。「女性」が別人を装った被告と分かったのは、事件後のことだ。

 検察は今年4月、起訴内容に「誘拐」を加えた。身元を隠して預かった行為は誘拐に問えると判断したためだ。「実態に沿った起訴」と感謝する母親は、「裁判で少しでも真実を知りたい」と期待する。

 事件直後は、「自分が生きているのがつらかった。死ぬことしか考えていなかった」という。ただ、「弟が一命を取り留めたのは、お兄ちゃんとしての自覚が出てきた長男が守ってくれたのでは」とも考えるようになった。無事に回復し、もうすぐ男児が迎えられなかった3歳になる弟の姿に、「この子のために頑張らなければ」と気持ちを奮い立たせている。

 事件と向き合うのはつらいが、裁判では被害者参加制度を利用して審理を見守るつもりだ。「法廷で被告はどんな態度で、何を語るのかを見届けたい。長男にきちんと謝れるよう、母親の私にしかできないことを果たしたい」

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