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保管制約、大幅増に慎重
県内市町村、災害備蓄540万食 連鎖地震~熊本の教訓(8)

社会 | 神奈川新聞 | 2016年6月9日(木) 09:40

 災害時に避難所などで提供する食料として、県内33市町村がアルファ米(乾燥米飯)やサバイバルフーズ(長期保存食)など計540万食を備蓄していることが、神奈川新聞社の調査で分かった。東日本大震災を機に見直しを図った市町村は多いものの、確保目標の考え方は大きく異なり、県民1人当たりでは0.6食にとどまる。4月の熊本地震では避難者数が自治体の想定を上回ったため備蓄が底を突き、食料の提供に支障を来した。だが、保管上の制約などから大幅な増量には各市町村とも慎重で、各家庭で3日分以上を備えるよう求めている。 に 

 調査は4~5月に実施。最新の備蓄量と確保目標の根拠を県内の全33市町村に尋ねた。県の地域防災計画では、被災者への食料提供は市町村の役割と定めている。ただ、被災状況によっては、県が応急対策に当たる職員用などとして備蓄する67万食が被災者に提供される可能性もある。

 備蓄量が市町村別で最多の横浜市は、被害が最悪となるマグニチュード(M)8級の「元禄型関東地震」で想定される避難者58万人の2食分に帰宅困難者1食分を加え、166万食を確保。川崎市の35万1千食は「直下型」で自宅の全壊、焼失が見込まれる人数のおおむね2食分だが、帰宅困難者用の確保は「今後の課題」と説明している。

 一方、人気の観光地を抱える自治体は帰宅困難者向けを重視。箱根町は県西部地震で見込まれる避難者400人の9食(3日)分と帰宅困難者2660人の6食(2日)分を既に準備した。鎌倉市は帰宅困難者用を含め96万食が目標だが、現状は33万食にとどまる。同市は「今後も拡充するが、予算上の制約に加え、保存期限で入れ替えが必要なケースもある」と計画的に増やす難しさを指摘する。

 また、県が示した被害想定の中から、どの地震を備蓄量の根拠にするかは、自治体によって判断が異なり、目標に対する充足度合いにも開きがある。

 「元禄型」と同タイプの巨大地震で、想定避難者が7千人を超える「大正型関東地震」を前提にする松田町は2万3千食を備えるものの、目標の9食(3日)分に遠く及ばない。これに対し、近隣の中井町は切迫性の高さを考慮してM7級の都心南部直下地震を根拠にしたため、「備蓄する1万3千食で避難者500人の24食(8日)分になる」としている。

 被害想定以外を備蓄目標にする自治体もある。海老名市は避難所となる小中学校などの収容可能人数(3万5千人)に根拠を変更。その結果、避難者の6食(2日)分だけでなく、帰宅困難者や児童・生徒らの分も賄える計算となった。35万食を超える備蓄は住民1人当たりでみると2・7食と33市町村で最も多いが、確保目標を10万食も上回っているため「今後減らす方向で検討したい」としている。

 また、「東日本大震災後に増やした食料が一斉に5年の保存期限を迎え、今後廃棄処分を迫られる可能性が高い」という悩みを抱える自治体もあり、「熊本地震を踏まえ、備蓄量を検討する」(秦野市)という自治体は限られている。

 人口の約半数と帰宅困難者用としてビスケットなど20万食余りを備える横須賀市は「食料の備蓄は自助」と強調。他自治体も同様の考えで「最低3日分、できれば1週間分」(開成町)を呼び掛けているほか、缶詰など保存のきく食料を多めに買っておき、期限前に消費して買い足す「ローリングストック」を「訓練時などに紹介する」(平塚市)動きも広がっている。

支援食料の配送課題 集積拠点・車両確保へ道半ば




被害最大級の「大正型」

 県が今春改定した地震防災戦略で減災目標の対象に据えた「大正型関東地震」が実際に起きると、発生が想定される避難者と帰宅困難者は430万人を超える。県内33市町村の現在の備蓄食料(計540万食)では、1人につき1・2食程度しか賄えない計算だ。協定を結んでいるスーパーから買い上げた食品や県外の自治体から届く支援物資などに頼らざるを得ないが、受け入れ拠点や避難所への配送車両の確保といった課題も少なくない。 (渡辺 渉)=関連記事1面に 

 大正型関東地震は、県内で最大級の被害が見込まれるマグニチュード(M)8級の巨大地震。東京や横浜を中心に死者・行方不明者が10万5千人を超えた1923年の関東大震災の再来型として、発生が警戒されている。再来時期は100年程度先との見方が有力だが、激しい揺れによる建物の倒壊と延焼火災、相模湾沿岸を中心とした津波の被害などで3万1550人が死亡する、と県は厳しい予測を立てている。

 想定によると、発生1~3日後の避難者は374万人に上り、帰宅困難者は61万人。それらの人々に効率よく食料を配分するのは難しく、被害想定の中で県が描いたシナリオでは、地震発生の6~12時間後に「備蓄物資が足りなくなる」と予想している。

 こうした事態を防ぐためにも、物資を受け入れて仕分けする拠点と配送車両の確保が欠かせないが、対策は道半ばなのが実情だ。

 配送拠点は小規模自治体に未指定のところが多く、箱根、湯河原両町は「今後の検討課題」などと説明。複数の拠点を確保済みなのは、横浜、川崎、小田原、茅ケ崎市など大都市が中心で、東日本大震災を教訓に物資の集積・配送センターを独自に整備した相模原市のような試みはまれだ。

 公用車だけでは不十分な車両の確保については、トラック協会の協力を得る動きが広がってはいる。それでも足りない恐れがあるとして、海老名市は市民らが登録する災害時協力車両も活用、松田町は自主防災会のメンバーが持つ軽トラックで配送することも想定している。

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