大和市は、少人数用の防災用テントを備蓄する方針を決めた。4月の熊本地震で、車中泊による肺塞栓(そくせん)症(エコノミークラス症候群)が多発した教訓から、長期の避難生活に備える。
市危機管理課によると、2人用10張と5人用30張のテントのほか、大小のシート計40枚とマット170枚を購入する。市は100人規模の大型テント2張を備蓄しているが、少人数用はなかった。購入費として375万円を計上した補正予算案を、開会中の市議会定例会に提出した。
熊本地震では、建物倒壊の不安やプライバシーの確保から、自由に身動きできない車中泊を続ける避難者が相次いだ。静脈に血栓ができるエコノミークラス症候群が多発し、死者も出た。
大規模地震による県の避難想定によると、市内の避難者は1万5400人。うち9200人が市内33カ所の避難所に身を寄せるとされる。23万人が暮らす大和市は県内で2番目に人口密度が高く、市は備蓄の応急的な見直しが必要と判断。市保健福祉センター(同市鶴間)や大和ゆとりの森(同市福田)の倉庫に、8~9月に配備される見通し。
市は熊本地震発生直後、本庁舎が倒壊寸前となった熊本県宇土市に自発的に職員を派遣。避難所で従事した支援活動を振り返り、震災時の課題を整理していた。
大和市の担当者は、テントの備蓄を「市民の体調維持の一助としたい」と話している。