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横浜地裁川崎支部
ヘイト「人格権侵害」 デモ禁止仮処分決定

社会 | 神奈川新聞 | 2016年6月3日(金) 02:00

 在日コリアンへの差別や殺害までをあおるヘイトスピーチデモを川崎市内で繰り返している男性に対し、横浜地裁川崎支部(橋本英史裁判長)は2日、同市川崎区桜本地区で多文化共生の地域社会づくりを手掛ける社会福祉法人青丘社(ペ・ジュンド理事長)の事務所の半径500メートル以内でヘイトデモを行うことを禁じる仮処分の決定を出した。同法人が5月27日に申し立てていた。

 5月24日成立のヘイトスピーチ解消法に照らした初の司法判断。男性は同市中原区でデモを行う申請をしており、県警による道路使用許可の可否をはじめ、さまざまな行政、司法判断に影響を与えそうだ。

 禁止行為には、在日コリアンとその子孫へのヘイトスピーチのほか、街宣車やスピーカーの使用、大声を張り上げることや徘徊(はいかい)も含まれる。

 男性は同市在住の津崎尚道氏。2013年5月から川崎駅前を中心にヘイトデモを繰り返し、直近の昨年11月、今年1月の2回は在日コリアンへの集住地域である桜本地区を標的に行い、「一人残らず日本から出て行くまで、じわじわと真綿で首を絞めてやる」などと発言し、今月5日にも新たなデモを予告していた。

 決定では、在日コリアンをはじめとする在日外国人が抱く民族やルーツについての感情や信念が「人格の礎をなし、個人の尊厳の最も根源的なもの」とした上で、ヘイトスピーチ解消法や人種差別撤廃条約に照らし、民族やルーツの違いをもって攻撃するヘイトスピーチを「平穏に生活する人格権に対する違法な侵害行為」と認定。運営する施設に在日コリアンの利用者が多くいることから、青丘社にヘイトデモの差し止めを求める権利を認めた。

 また、人格権を侵害するヘイトデモが「憲法の定める集会や表現の自由の保障の範囲外であることは明らかで、権利の乱用」と指摘。事後的な権利の回復が著しく困難であるという観点から妨害予防請求権も認めた。

 代理人の三木恵美子弁護士は「禁止行為に『半島に帰れ』『1匹残らずたたき出してやる』といった例がはっきり示されており、表現行為を萎縮させないよう、保護される表現とそれ以外を分ける工夫がなされている。真剣に考えていただいた」と評価した。

解説 共生尊さ踏まえ判断




 横浜地裁川崎支部によるヘイトデモ禁止命令仮処分は、ヘイトスピーチは許されないものと宣言する一方、違法とまではうたっていない理念法であるヘイトスピーチ解消法から一歩踏み込み、「平穏に生活する人格権に対する違法な侵害行為」と明確に認定した点で画期をなす判断といえる。

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