相模女子大学(相模原市南区文京)が、ダウン症や自閉症など障害のある子どもたちを対象に、音楽療法を取り入れた子育て支援を行っている。資格を持つ音楽療法士とともに学生ボランティアが参加。子どもの成長を実感するとともに、普段接することが少ない障害がある子どもとの時間は、保育や福祉の仕事を志望する学生の学びの場にもなっている。
音楽療法とは、音楽を使って子どもたちの身体活動を促すもの。一つの空間で音楽を共有することにより、子どもたちの協調性や社会性を養うこともできるという。
8年前、子ども教育学科元教授の河尾豊司さんが、障害のある子どもたちの余暇支援を行う学生ボランティアグループを創設。音楽療法は活動の一環として2011年から取り入れ、年間4回程度プログラムを実施している。
毎回、10人ほどの学生ボランティアが参加。音楽療法士のピアノ伴奏に合わせ、子どもたちと一緒に歌ったりタンバリンをたたいたりして、子どもたちがグループの輪に加わって楽しめるよう触れ合っている。
4年生の菊池英美伽さんは「話し掛けても反応を示さなかった子どもが、音楽を通すと私の言うことを聞いてくれるようになった。子どもたちに分かりやすく言葉を掛ける工夫をしていかなければならないと思った」と話す。
「障害のある子どもたちはだんだんと楽器で自分を表現できるようになり、その姿を見た学生たちは子どもたちの可能性を見いだしていく」と、音楽療法プログラムの顧問を務める大竹紀子教授。
大学の授業では障害のある子どもたちに触れる機会は限られているといい、「音楽療法は障害のない子どもたちや発達が気になる子どもがいる現場でも活用できるので、この経験を役立ててほしい」と話した。