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肉声で伝える戦禍 記録映画を公開

社会 | 神奈川新聞 | 2017年1月29日(日) 02:00

映像に合わせ、4人の戦争が語られた戦争を記録する報告&対話集会=麻生市民館
映像に合わせ、4人の戦争が語られた戦争を記録する報告&対話集会=麻生市民館

 戦渦を生き抜いた4人の市民がそれぞれの「戦争」を語る映像作品が28日、川崎市麻生区の麻生市民館でお披露目された。70年以上経過した戦争の風化を防ぎ、庶民が被った戦禍を肉声で次代に伝える試み。約50人が参加し、平和の大切さに思いをはせた。市教育委員会主催。

 映像は、83~89歳の男女4人が体験した女子通信隊や空襲、集団疎開といった体験を語り、当時の写真やイラストなどで構成。デジタル・ストーリーテリング研究所の須摩修一研究員の指導で、ボランティア3人が昨年11月から体験者と対話を重ねて文章化し、本人が読み上げて5~7分の映像に仕上げた。語り部の一人は制作後の昨年12月に亡くなり、「戦争についての最後の言葉」となった。

 陸軍東部軍司令部にあった「女子通信隊」の軍属として働いた外間加津子さん(89)=同市麻生区南黒川=は、「最後の一兵」と題した作品を発表。米軍機に関する情報処理業務で、「空襲があると駆け付けなければならず、大空襲で焼けただれた多くの遺体を踏まないようそっと歩いた」などと語った。同隊慰霊祭の参列者が昨年は外間さん1人だったことにも触れ、戦争の記憶が薄れていくことへの危機感も吐露した。

 「小学校に入学したころ戦争が始まり、志願兵を目指した」という一柳実さん(84)=同市多摩区長尾=は「戦争は弱い者が犠牲になる。母が苦労している姿を見るのがつらかった」と話し、言論や出版の自由の大切さも呼び掛けた。

 会場には80代の人も多く、「戦争の物語」を記録して活用することの重要性も話し合われた。

 
 

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