
ナノ医療イノベーションセンター(iCONM、川崎市川崎区殿町)と東京大学、東京工業大学、量子科学技術研究開発機構は16日、磁気共鳴断層撮影装置(MRI)で検知不可能だった微少がんも検知できる「ナノマシン造影剤」の開発に成功したと発表した。血管を通り薬剤を運ぶウイルスサイズの輸送体「ナノマシン」の技術を応用した。
国内で約6千台程度が稼働するMRIは放射線被ばくはないが、感度の向上が課題だった。この造影剤を使うことで微少な転移がんやがんの悪性度まで見ることができるという。
約50ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)のナノマシン造影剤は、強い造影効果を発揮できるマンガン造影剤を、骨の成分であるリン酸カルシウムでカプセル状に閉じ込めたもの。
がん組織の低い水素イオン濃度(pH)でリン酸カルシウムが溶け、マンガンイオンが放出。がん組織のタンパク質と結合することで強いMRI信号を発するため、高解像度で検査できるという。
同日、会見したiCONMの片岡一則センター長は「がんの増殖速度など悪性度までMRIで造影できるようになる。汎用(はんよう)機にターボを付けるようにMRIの機能が向上する」と説明した。