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リスク読めぬ新解釈 連鎖地震~熊本の教訓(2)

社会 | 神奈川新聞 | 2016年5月16日(月) 02:00

神縄・国府津-松田断層帯の活動履歴解明に向けて行われた掘削調査=2002年12月(県提供)
神縄・国府津-松田断層帯の活動履歴解明に向けて行われた掘削調査=2002年12月(県提供)

 神奈川にとって極めて重要な活断層に関する新見解が発表されたのは、昨年4月だった。

 「神縄・国府津-松田断層帯の評価を今回大幅に改定しています」。東京・霞が関の文部科学省。政府・地震調査委員会の事務局担当者が淡々と説明する。

 「この断層帯のうち国府津-松田断層については、(プレート境界である)相模トラフの分岐断層と評価しました。そこから先の松田北断層などは別に活動する活断層で、神縄断層は既に活動を停止したと判断しています」

 JR御殿場線に沿うように県西部に延びる神縄・国府津-松田断層帯。かつては「日本で最も危険な活断層」とも称された。内陸の活断層では規模の大きいマグニチュード(M)7・5の地震を起こすとされ、30年以内の地震発生確率が最大16%と国内に約100ある主要活断層帯で最も高かったからだ。

 ところが、昨春の評価見直しで「単独では地震を起こさない」と解釈が大幅に変更されたばかりかその名称も消え、地震発生確率も算出されなくなった。

 見直しに結び付く新知見を提供した東大地震研究所の佐藤比呂志教授が解きほぐす。「地下の状況を詳しく調べたところ、国府津-松田断層は相模トラフにつながっている構造が見えてきた。相模トラフでM8級が発生するときに、この断層も一緒に動くことがあると考えられる」

 相模トラフのM8級はおおむね200~400年周期。直近の関東大震災(1923年)、一つ前の元禄関東地震(1703年)では、断層が連動した証拠は見つかっていない。一方、これまで不明だった元禄以前のM8級について地震調査委は2014年、鎌倉に大きな被害が出たと伝えられる1293年の地震が該当すると判断。「永仁関東地震」と名付けた。

 根拠となったのが、阪神大震災後に県が進めた活断層調査だった。その成果から神縄・国府津-松田断層帯の平均活動間隔は800~1300年、最新活動時期は12~14世紀前半と判明。地震調査委は当初、これを単独の地震とみていたが、永仁関東地震の際に連動した可能性が高いとの新解釈を導いた。

 果たしてリスクは高まったのか、低くなったのか。県西部の活断層を調べ続ける県温泉地学研究所の小田原啓主任研究員は「新たな評価にも課題や分かりにくさがある」と指摘しつつ、こんな見方を示す。「満期は近いのではないか」。次のM8級で国府津-松田断層が連動する可能性はあるとの見立てだ。

 決して多くはない手掛かりを頼りに過去を解き、未来を読む。昨春の活断層評価の見直し当時、地震調査委員長だった本蔵義守・東京工業大名誉教授はその限界も口にした。「必ずしも全てが分かっているわけではない。今後も評価の見直しはあり得る」

 連鎖的な熊本地震を引き起こした日奈久(ひなぐ)断層帯と布田川(ふたがわ)断層帯も以前は一体と判断されていたが、3年前に別々の断層として評価が見直された。

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