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時代の正体〈313〉憲法カフェ(中) この国の主役は国民

社会 | 神奈川新聞 | 2016年5月12日(木) 10:29

太田啓子さん(左)、枝元なほみさん(右)
太田啓子さん(左)、枝元なほみさん(右)

 弁護士と料理研究家が対談した「憲法カフェ」。話題は日々の暮らしから、この国の政治へと向かった。

太田啓子 憲法の話をしますね。国民と国家の関係を決めているのが憲法です。この国の主役は誰ですか。

枝元なほみ 国民。

太田 そうです。私たちが主権者ですが、国家権力に主権者としてのパワーを託して政治をやらせているんです。「国家権力」というと難しい気もしますが「公の機関が持っている強制力」と思ってください。どんな強制力があると思いますか。

枝元 お金を取る。


太田啓子さん
太田啓子さん


太田 そうです。税金を取るのは最大の強制力ですね。警察官による逮捕もそうです。ありとあらゆる強制力を掌握している。政治を行う立場になって強い権力を握ると、人はついつい自分がしたいことをやりたくなってしまう。乱用や暴走がある。それを防ぐために縛りをかけているんです。政治をさせるけれど「注文通りにやってね」と注文付きで預けている。注文について書いてあるのが憲法です。実際に憲法をつくった覚えはないかもしれませんが、国民が憲法をつくり、国家権力側に守らせる主体なんです。


枝元なほみさん
枝元なほみさん


枝元 3・11の後に、官邸前に脱原発のデモに行っていたことがありました。仕事もしまくって疲れ切っていました。「(国民が)おかしいと思うことを権力者がしようとしているのに、なんで疲れた体にむち打って、毎週、ボランティアみたいに『おかしいよ!』と抗議に行かなきゃいけないんだろう」と思っていました。

太田 国民が国家に憲法を守らせて、それにより権力の乱用を防ぐ。そのことを「立憲主義」と言います。ところが、立憲主義という考え方をいま政権の中枢にいる政治家たちは驚くほど分かっていない。私が危機感を持って、憲法カフェをやっているのはそこが大きいんです。

「いまの政治家は立憲主義すら分かっていない」



太田 2012年4月、自民党が憲法改正草案を発表しました。102条に新設された条文に「国民は憲法を尊重しなければならない」と書かれています。短い一文ですが、国民に対して憲法を尊重しろと書くなんて、立憲主義を分かっているのかと不安になります。(首相補佐官だった)磯崎陽輔議員は自分のツイッターで「立憲主義という言葉を聞いたことがない」とつぶやいたんです。立憲主義というのは憲法の基本理念で、法学部の1年生が最初に勉強します。要職中の要職にある方が、こういう発言をすることを「恥ずかしい」とさえも感じていない。政治家が立憲主義という言葉を知らないと堂々と言っていいと考えていたことは、本当に恐ろしい事態だと思います。安倍首相の憲法観は?というと、国会でこう述べています。「憲法が国家権力を縛るという考えもあるが、それはかつて王権が権力を握っていた時代のことである」。つまり、国家権力を縛らなくてもいい、と言っていますよね。立憲主義をあまりに理解していない。

太田 憲法を誰が守らないといけないか。大臣や国会議員、公務員です。一般国民は「憲法尊重擁護義務」を負っていない。なぜかというと、国民は国家に対して憲法を守らせる側だから。ただ、国民は何も義務を負ってないかというと、そんなことはなくて、法律でいっぱい義務を負っています。

枝元 条文の理解という以前に「国民がいる」ということを全く理解していないんだよね。ものすごく古い人を見ている感じがする。

太田 安倍総理の言う「国民」は自分の意見に同調してくれる人のようですよね。それ以外の、批判する意見を言うのは「左翼」なのですかね。国民の多様な声を民意として見ているのかなと思いますよね。

「個人に危うさ潜む」




枝元 副総理の麻生(太郎)さんが「ナチスの手法に学べばいい」と言ったけど、すごい発言だよね。ヨーロッパで言ったら、その時点でクビですよね。なぜ、そこまで私たち国民はなめられちゃったんですかね。

太田 なめても平気だろうと見くびられている。何をやっても支持率は上がったり、選挙で通ったりするわけですよね。

枝元 私、本当に分かんなくて。周りに「安倍政権に投票したい」という人、一人もいないんだけど。いつも不思議なんですよね。

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