横須賀市中南部に延びる活断層「北武断層」と周辺地層の観察会が8日、同市の野比海岸であった。熊本地震で活断層の存在が改めて注目される中、過去の地震活動の痕跡をたどった約30人の参加者は、地元のリスクに目を向けることの大切さを実感していた。
北武断層は、横須賀、三浦両市や葉山町に分布する「三浦半島断層群」を構成する活断層の一つ。政府・地震調査委員会は周辺の活断層を含めた「衣笠・北武断層帯」でマグニチュード(M)6・7以上の地震が起きるとみている。30年以内の地震発生確率は「ほぼ0~3%」で、国内の主な活断層の中では確率の高いグループに入っている。
観察会では、ガイドを務めた横須賀市自然・人文博物館の柴田健一郎学芸員(36)が「野比海岸では、三浦半島であまり見られない岩石が地表に露出している。それらは断層の運動によって地下からもたらされた」と説明。海岸の地層は複雑な様相を呈しており、参加者は地震が原因とみられる海底地すべりの痕跡にも目を凝らした。
また、野比地区で行われた住宅開発では、北武断層の位置を考慮して断層真上の土地を公園とし、宅地への直接的な被害を防ぐ対策が講じられている。
一行はそうした現場にも足を延ばし、身近な活断層にどう向き合うべきかを考えた。市民団体「三浦半島活断層調査会」の浅見茂雄顧問(63)は「断層を避ける開発がもっと行われるべきだが、広がっていない」と指摘した。
参加した市内の男性(76)は「活断層の存在は知っていたが、現場を見るのは初めて。どこにあるかを知っておくことはとても大切」と実感していた。
見学会は10日の「地質の日」に合わせ、同博物館が企画した。