成年後見人として管理していた高齢者の預金口座から現金1千万円を着服したとして、業務上横領の罪に問われた元県議で行政書士の男(64)に対し、横浜地裁は15日、懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役3年)の判決を言い渡した。
松田俊哉裁判長は判決理由で「自己の遊興費に充てるために犯行に及んだ。被害金額は多額で、社会的な影響も看過できない」と述べた。弁護側は「不法領得の意思はない」と無罪を主張。男が被後見人の口座から自分の口座に送金したのは、葬儀費用や後見業務の報酬のためだったとしたが、判決は「葬儀費用に充てた割合は小さく、送金時点では不法領得の意思があった」と認定した。一方で被害金額を弁償しているなどの事情から、刑の執行を猶予するとした。
判決によると、男は2013年3月と14年1月、行政書士として成年後見人を務め、財産を管理していた男性2人の口座から、各500万円を自らの口座に振り込んで横領した。
男は11年の県議選に旧みんなの党(解党)で横浜市神奈川区選挙区から立候補して初当選、15年4月の県議選で落選していた。事件を受け、県行政書士会は男に対し、昨年11月20日付で廃業勧告の処分を出している。