東京電力福島第1原発事故で横浜市に自主避難した男子生徒(13)がいじめを受けていた問題で、市教育委員会の岡田優子教育長は20日、男子生徒と同級生との間で2014年5月ごろ行われた金銭授受について「いじめと認定するのは難しい」との認識を示した。同日開かれた市会常任委員会で明らかにした。
市教委の第三者委員会は「おごりおごられ行為」とし直接的ないじめと認めていない。生徒側代理人は今月、認定を求めた意見書を林文子市長に提出したが、岡田教育長は「市教委に厳しい指摘をした第三者委が認定していない。結論を覆すのは難しい」と意見を述べた。
ただ、当時の学校や市教委の対応については「金銭授受があった時点で(いじめ防止対策推進法で定める)重大事態として認識すべきだった」と述べ、学校が把握するのに約1年7カ月遅れた不手際を認めた。
市教委は13年に重大事態調査に関する要綱を制定していたが「教育委員会、教育事務所、学校の間で、現実の制度の運用や実務の方法について共通認識ができていなかった」と言及。市教委で判断を一元化するなど運用を見直す方向性を示した。
また、市教委は現在進めている内部検証について、今週から当時の教育事務所関係者から聞き取りを始めた。対象は、当時の学校長や担任教諭ら10人程度になる見通し。