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旅するぬいぐるみ 病気や障害「私の代わりに」

社会 | 神奈川新聞 | 2016年3月28日(月) 02:00

昨年のお花見パーティー。手作りの行楽弁当も用意して写真を撮影し、「まるでお花見に行った気分になれる」とぬいぐるみの持ち主らに喜ばれた(日本ぬいぐるみ協会提供)
昨年のお花見パーティー。手作りの行楽弁当も用意して写真を撮影し、「まるでお花見に行った気分になれる」とぬいぐるみの持ち主らに喜ばれた(日本ぬいぐるみ協会提供)

 病気などで外出が難しい人の代わりに、ぬいぐるみを旅行や観光に連れて行く活動を、横浜市中区のNPO法人「日本ぬいぐるみ協会」が展開している。小塚晴美理事長(47)=同市都筑区=の個人的な体験から始まった“代行旅行”が、さまざまな人の思いを乗せた活動に成長した。

 かつて小塚さんは犬を2匹飼っていたが、慣れない環境だと騒ぐため、一緒に外出を楽しめなかった。「愛犬と一緒に旅行してみたい」との思いで、2匹をモデルにしたぬいぐるみを手作りし、2002年に自身のホームページで一緒に旅行に連れて行ってくれる人を募集したところ、意外にも応募が殺到。見知らぬ女性に預けると、富山県のお祭りを訪れたぬいぐるみの写真が郵送で届き、まるで愛犬と旅行に行った気分になれたという。

 その後も続々と応募があり、愛犬のぬいぐるみはこの14年間で23都道府県と31カ国を旅した。世界一周の船旅に同行したこともある。自身はもちろん、旅行に連れて行ってくれた人々にも「楽しかった」と喜ばれ、「この活動を外出できない人への社会貢献に生かせないか」と13年にNPO法人を設立した。

 協会ではお花見やサマーキャンプ、クリスマスパーティーなどのイベントを企画して参加するぬいぐるみを募集し、写真を撮影してぬいぐるみの持ち主らに届けたり、ぬいぐるみを預けたい人と預かって旅行などに連れて行く「ホストファミリー」を仲介したりする。参加費は2千~3千円。

 活動を通じて会話を交わすうち、依頼者からぬいぐるみに寄せる思いを聞く機会も増えた。身体が不自由で外出が難しい人、亡くなった愛犬そっくりの人形でペットロスを癒やす人、病室に置いて治療の支えにしてきたぬいぐるみと活動に参加している人もいる。

 「ぬいぐるみに詰まったたくさんの思いを大事にしながら、人々の優しい気持ちをつなげていきたい」と小塚さんは話している。

 問い合わせは同法人電話045(534)9335(平日午前10時~午後5時)。


活動のきっかけとなった愛犬をモデルにしたぬいぐるみを抱く小塚理事長=横浜市中区
活動のきっかけとなった愛犬をモデルにしたぬいぐるみを抱く小塚理事長=横浜市中区
 
 

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