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福島から避難、横浜の大学卒業 故郷で教職目指す清水さん
転機・あの日から 復興担う子育てたい

社会 | 神奈川新聞 | 2016年3月22日(火) 09:20

震災について「語る場」の大切さを話す清水さん =横浜市西区
震災について「語る場」の大切さを話す清水さん =横浜市西区

 あの日、原発事故で福島県浪江町の自宅を追われた清水葉月さん(22)は高校2年生だった。母の実家がある千葉県松戸市に避難し、地元の高校に編入した。あれから5年-。今春、横浜市内の大学を卒業した清水さんは、故郷での教職を志す。原発事故などが障害となり、他県に比べ復興が進まない福島。「何かを伝えることで、子どもたちが復興を考え、語り合ってもらいたい」

 震災から1カ月。高校最後の1年のスタートは、千葉県で迎えた。避難所で過ごしている友人に後ろめたさを感じる自分に対し、新しい同級生たちは、震災など忘れて幸せそうに見えた。原発事故について聞かれることもなく、「なかったこと」にされた気がして悔しくなった。

 「卒業まで1年だけだし、仲良くならなくていい」。そう思っていたある日、教諭から宮城県名取市で被災者の心のケアをしている心療内科医の講演会に誘われた。

 「みんな忘れてしまっている」と思っていた被災地のために、懸命に活動してくれている人たちがいることを知った。避難してから初めて涙が出た。引率していた教諭から感想を話してみないかと言われ、これまでの思いを打ち明けた。

 「聞いちゃいけないと思っていた。ごめんね」。同級生からそう言われ、それまでのわだかまりが解けた。

 大学入学後は、自分も被災地のために何かしたいと思い、福島の小中学生を横浜に招くサマースクールの運営に携わった。福島県飯舘村で農業再生に取り組む農家の見学・発表もした。

 卒業後の進路を決めたきっかけは、昨年6月に千葉県の母校で行った教育実習だった。公民の授業を担当した際、担当教諭から「原発について話してほしい」と言われた。

 原発事故が自分の町にどんな被害を与え、人の暮らしをバラバラにしたか-。体験談を交えて語った。

 生徒の反響は大きかった。「客観的な話だけでなく、被災者の声を聞かないといけないと思った」「こんな授業初めて」といった感想が寄せられた。伝えることが、課題を語り合う機会になるのだと思った。

 以前から感じていることがあった。「みんな同じ被災者でも、被害程度は違う。原発事故まで起きてしまった福島は、前向きに語り合えない空気がある」。県外に住んだからこそ見えてきたことだ。

 教育の力なら、何とかできるのではないか。教職という立場から問題意識を投げ掛け、故郷の復興に前向きに活動する人を育てたい-。清水さんはそう夢見るようになった。

 4月からは、宮城県女川町の仮設住宅で暮らす子どもたちに教育支援を行うNPO法人でインターン生として働き、経験を積むつもりだ。

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