人口減や高齢化の著しい三浦市・三崎下町地区をモデル地域に、市社会福祉協議会が「地域診断」を実施し、結果をまとめた。地域全体で高齢者を支える仕組み「地域包括ケアシステム」構築を推進するため、「住民同士の助け合いの継続」や「世代間の交流の場づくり」などが必要としている。
市が2015年度から取り組んでいる高齢者健康福祉などの第6期計画には、生活支援体制整備事業として、情報の共有や連携の強化を図る「協議体の設置」が盛り込まれた。
協議体設置に関する提言づくりを進める市社協が、地域診断を昨年12月から今年2月にかけて実施。社協職員が三崎下町地区に出向き、住民や商店主など約80軒から協力を得て、助け合い活動や生活の困りごと、望むサービスなどをポイントに聞き取りを行った。
地域診断書には、キーマンとして地区の区長や民生委員を登場させた。「隣近所は1人暮らしの高齢者がほとんどだが、ごみ出しなどは近所同士で助け合っている」「お祭り準備を協力して行うことで町内同士がつながり、連帯感がある」-などの談話を載せた。道幅や段差、空き家などハード面で気づいた地区内の現状も写真付きで入れた。
市社協職員で、市から生活支援コーディネーターを委託されている斎藤清香さんは「人情に厚く、独自に相互活動を育んできた町という仮説を立てて診断に臨んだが、実際に住民同士の助け合いができていることが分かった」と話す。その上で5年先、10年先を見据えて「地域住民の交流や関係性づくりの機会となる、お祭りの中心メンバーらも『協議体』に入り、地域の中で課題の共有や解決を図る協議体の構成に」と提案する。
地域診断は、市内の福祉関係者らが集まる24日の市地域ケア連携会議や、診断に協力した三崎下町地区にも報告する。