川崎市の中学1年男子生徒殺害事件で、傷害致死罪に問われた無職少年(18)の判決公判が14日、横浜地裁(近藤宏子裁判長)で開かれる。起訴内容に争いはなく、少年に懲役刑の刑事罰を課すか、少年院に収容する保護処分とするか、のどちらがふさわしいかが焦点だ。判決は殺人などの罪で懲役9年以上13年以下の不定期刑が確定した主犯格の少年(19)に続き2人目。
◆役割、立場どう判断
少年は起訴された3人のうち、亡くなった男子生徒=当時(13)=と最も親しかった。事件では主犯格に逆恨みされていた男子生徒を呼び出し、3人でカッターナイフで切り付けたとされる。
少年の役割や立場に対しては、検察側と弁護側で評価が分かれる。懲役4年以上8年以下の不定期刑を求刑した検察側は、少年について「助けを呼ぶこともできたのに、自己保身のために見捨てた」と非難。また、事件前に男子生徒が兄のように慕っていたからこそ、少年が暴行に加わったことは「最も大きな絶望を与えた」としている。
一方、弁護側は家裁に事件を移送し、少年院に収容させるべきと主張する。悪質性を減じる特段の事情として、主犯格が暴行を始めた時点では少年は現場から離れていたことや、主犯格から強い脅迫を受けて仕方なく暴行に加わった経緯があることを強調。「複雑な成育歴による精神的な未熟さが事件に影響を与えた」とも説明している。
少年法は未成年の被告について、少年院送致などの保護処分がふさわしいと認められる場合は、事件を家裁に移送すると規定。移送を受けた家裁が再び調査し、処遇を決める。懲役刑となった場合、少年は少年刑務所に収容される見込みだ。
◆少年院と少年刑務所 少年院は教育と更生を目的としており、生活指導や職業指導など矯正教育が中心で、教育目標の達成で出院。少年刑務所は罪を償いながら更生させることに主眼が置かれ、工場での作業を基本に改善指導を受けつつ、刑期の終了で出所となる。