
横浜市西区の分譲マンション(262戸)で鉄筋の一部が切断されている施工不良が見つかった問題で、事業主の住友不動産と施工主の熊谷組は5日、住民に対し説明会を開いて両社の幹部が謝罪、全棟建て替えを正式に提案した。また、住民によると、慰謝料として全戸一律200万円が提示されたという。
住友不動産の伊藤公二取締役は「補修のみで建物の健全性が将来にわたり確保されると確信できない」と全棟建て替えの理由を説明した。
マンションは2003年に分譲された。14年6月に、くいの長さが足りず4棟のうち1棟が傾いていることが発覚。同社はこの1棟の建て替えと残り3棟の補修案を提示したが、ことし2月に3棟でも施工中の鉄筋切断や、補強鉄筋がない箇所が見つかった。
この日初めて住民の前に姿を現した熊谷組の樋口靖社長は「心から深くおわびします」と謝罪。解体作業の中で施工不良を調査し、原因究明することや再発防止に取り組む方針を示した。その上で「(改築の)設計・施工を了解いただきたい」と理解を求めた。
説明会後に会見したマンション管理組合の副理事長は「住友不動産はいまも社長が謝罪していない。誠意ある姿勢とは思えない」とし、「これから住民アンケートを実施し、次の説明会に備えたい」と話した。