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「恩返し」高校卒業、医療の道へ
転機・あの日から 復興誓い巣立ち 福島から避難の三瓶さん

社会 | 神奈川新聞 | 2016年3月3日(木) 10:44

卒業式を終え級友と記念撮影する三瓶さん(前列中央)=県立新羽高校
卒業式を終え級友と記念撮影する三瓶さん(前列中央)=県立新羽高校

 東日本大震災後、福島県南相馬市から横浜市神奈川区に家族で避難してきた三瓶一輝さん(18)が2日、3年間通った県立新羽高校(横浜市港北区)を卒業した。「いつか福島に戻って、故郷の復興に貢献したい」。あの日から間もなく5年。支えてくれた恩師や級友たちへの感謝を胸に、4月から都内の大学に通い、作業療法士を目指す。

 体育館で行われた卒業式。一緒に避難した両親が見守る中、三瓶さんはクラスの代表として壇上で卒業証書を受け取った。「最後の最後に大役を任せてくれてありがとう」。教室に戻って最後のホームルームで、担任の森山かおり教諭(52)や36人の級友を前に照れくさそうにあいさつした。


 南相馬市原町区で生まれ育った。震災が起きた時、中学1年生だった三瓶さんは同級生の家へ遊びに出ていた。経験したことのない激しい揺れに驚き、訳の分からないままはだしで外に飛び出した。瓦屋根が落ち、道路がひび割れ、ラジオは津波の情報を繰り返し伝えていた。「世界が終わると思った」

 自宅は東京電力福島第1原発から北に25キロ。原子炉建屋が爆発し、放出された放射性物質による健康被害への懸念から家族4人で親類が暮らす横浜に逃れた。慣れない土地での先の見えない生活に不安が募る一方、「故郷の良さ」に気付かされる日々でもあった。

 どうせ福島に帰るから友達なんかいらない-。避難することに後ろ向きだった三瓶さんのささくれ立った気持ちを変えたのが、恩師や級友たちだった。「こいつ、三瓶って言うんだ」。同じクラスのガキ大将が友達に紹介してくれたり、担任教諭が制服や体操着を用意してくれたり。「みんなが受け入れてくれて、学校がどんどん楽しくなった」

 三瓶さんは幼いころから医療機関で働く両親の姿を見てきた。高校3年生になり、進路について考えるうちに、体に障害がある人の心身をサポートする仕事に就きたいと思うようになった。横浜で多くの優しさに触れ、「人に寄り添い、心から支えることが大切だと身に染みて感じた」。

 今春からは東京医療学院大(東京都多摩市)のリハビリテーション学科に進み、作業療法士を目指す。専門知識と技術を身につけ、いつか福島の復興に貢献するのが夢だ。「震災はつらい体験だったけれど、横浜に来て将来の可能性が広がった。夢をかなえ、福島の復興に携わることが、支えてくれたみんなへの恩返しになるはず」

 5年前の「あの日」が転機になった。だから今の自分がある。進むべき道を定めた災後の日々を追う。

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