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認知広げ心の支えに
壁をこわす(3)オストメイト向けアプリ

社会 | 神奈川新聞 | 2016年2月21日(日) 10:42

オストメイトマークを指し示す関口さん=横浜市港北区の日吉駅
オストメイトマークを指し示す関口さん=横浜市港北区の日吉駅

 便や尿を排せつするための人工肛門・人工膀胱(ぼうこう)を持つ「オストメイト」向けに、対応トイレの場所などの情報を提供するスマートフォン向け無料アプリ「オストメイトなび」の開発・運営プロジェクトが進んでいる。手掛けているのは、大学院生の神戸翼さん(32)=藤沢市=と関口陽介さん(28)=横浜市戸塚区=が共同代表を務めるNPO法人「エムアクト」。便利さの追求だけでなく、若年オストメイト当事者が抱える不安や生きづらさを社会的に解消したいという思いも込められている。

外見は健常者


 取材当日、公衆トイレに掲示された「オストメイトマーク」の案内板を撮影しようと、関口さんと東急東横線日吉駅構内に向かった。関口さん自身も3カ所の開口部があるオストメイト当事者だ。

 多目的トイレの使用中ランプがちょうど消えた。個室から出てきたのは若い女性。快活にヒールを鳴らしながら雑踏の中に消えていった。

 その姿にムッとした。

 (健康そうなのに、どうして…) 
 記者は車いすを使っている友人と遊びに行くことが多い。友人は自力で排せつできないため、記者も介助者として多目的トイレに同行する。個室数が限られていることから、使用中の場合が必然的に多い。次第に友人は無言になり、体を前後に揺すり、最後には顔を青ざめて脂汗を流し始める。やっと開いた扉から「健常者に見える人」が出てくることは少なくない。それだけでなくたばこのにおいが充満していたり、便器が酒臭い吐瀉(としゃ)物まみれだったりすることもある。

 釈然としない気持ちが表情に出ていたのだろう、記者に関口さんは言った。

 「もしかしたら、あの人にも何か障害や病気があるのかもしれませんよ。外見が元気そうな人でも、実際のことは分からないですから」

 
 

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