大麻くらい、別に悪いものではないと思っていた。「自分は他人とは違う」と思っていた。今振り返れば「それこそ依存症者の典型だった」。民間の薬物依存症リハビリ施設「川崎ダルク」の施設長を務める岡崎重人さん(35)も当事者だった。
東京都立高校のサッカー部で汗した。不良ではなかった。大学進学のため浪人した。ドラッグを持っている友人がいた。「何度か断ったんです」。1回くらいならと、もらった。セーブできると思っていた。
「友達とだけ」が、いつの間にか「一人でもやり始めた」。1浪して、大学に入った。もう自分の生活の中に薬が入り込んでいた。
「でもやめなきゃとは思わなかった。生活が破綻しているわけでもないし、困ることもなかったし」
先にお金がなくなった。薬を買うため、