
子どもたちを火災から守ろうと、相模原市消防局独自の防火教育への取り組みが広がりをみせている。消防隊員らを講師として市内の小学校に派遣し、子どもたちが火災による煙の恐ろしさや消火器の使い方などを学ぶ。市内の多くの学校で授業に取り入れられ、2014年度は約5600人が受講した。市消防局は「将来にわたる防火意識の醸成につなげたい」と意気込んでいる。
「少年・少女ファイヤースクール」と名付けられたこの事業は、市内の火災原因でライターやマッチなどを使う「火遊び」が毎年上位に入ることから、火災の恐ろしさや身を守る工夫を身に付けてもらおうと11年度に始まった。
昔から行われている非常ベルを押して校庭に避難するような訓練は形骸化してしまうと懸念し、体験学習型の防火教育を考案した。
小学3~4年生を対象に約90分間、火災で発生する煙の危険性や、火災時の避難方法、消火器の取り扱い方を学ぶ。単なる講話にとどまらず、疑似的な煙を発生させる機械を使って煙の中を避難する訓練や、水消火器を使い安全ピンを抜いてレバーを握る火の消し方を習うなど、一人一人が実際に体験することが特徴だ。
「火事で一番怖いのは煙。煙の中には毒が入っている」。2日に同市中央区の市立淵野辺小学校で開かれた「ファイヤースクール」では、講師の相模原消防署の消防士が3年生約100人を前に、かみ砕いた表現で煙の危険性を説明した。
子どもたちは、上へと広がる煙から逃げるときには地面をはうことや、服に火が付いた際には寝転んで地面に火をこすりつけて消すことなど、命を守る方法を実践的に学んだ。
女子児童(9)2人は「煙が体に毒だということや、上がった後に下りてくることを知らなかった。家に帰ったら、お父さんやお母さんに教えたい」と話していた。
市消防局は「防火の意識を高めてもらい、家庭内の“消防士”としても活躍してほしい」と期待している。
