
外国人の増加に伴い、彼らの生活を支える物販店や美容院なども増えてきた。これらの店舗は外国人にとって、暮らしやすい環境が整備されると同時に、就労先にもなり、さらに外国人を集める要素になっている。
イセザキ・モール(横浜市中区)で約10年前から営業している中国の日用品店「太陽物産」。野菜や豆腐などの生鮮食料品から、冷凍ギョーザ、紹興酒、中華調味料、国際電話カードなどを幅広く取りそろえ、横浜に暮らす中国人にはよく知られた存在だ。
近くに住む常連客の中国人男性(25)は「日本に来てから10年以上たつが、今でも中国の食べ物が好き。この店があって助かっている」と話し、好物の「緑豆湯(豆のスープ)」を買って帰った。
女性店主(45)は15年前に浙江省から家族で来日し、店を切り盛りしている。「近くに住んでいる中国人はほとんど常連。毎日食べるものはやっぱり中国の味がいいから」と話す。
協同組合伊勢佐木町商店街の永井実事務局長は、「伊勢佐木町は中華街も近く、華僑系を中心に外国人が経営する店はもともと多かった。最近は外国人向け不動産業や携帯電話店など、暮らしを支える店舗も増えてきた」と実感している。近年はショートステイの出稼ぎよりも定住志向が高まっているためか、外国人経営者も商店街協同組合に加入するなどし、以前に比べて協力的だという。
「外国色は商店街の特色にもなる。東京五輪を控えて外国人観光客も増加が見込めるため、商店街としてもインフォメーションの多言語化などを進め、この特色を売り上げ増につなげたい」と永井さんは話す。
広がる就労先
外国人増加の背景には、日本の景気回復に伴う人手不足がある。介護や建設、製造業を中心に、外国籍の採用に積極的な業種も増えている。在留外国人向けの店舗やサービスも増え、外国人の生活環境も整備されてきている。