葉山町は海水浴場利用者のマナー向上に向け、警備員の増員や啓発用横断幕の新設などに取り組む。禁酒などを条例で定めている近隣の海水浴場に比べ、規制がない葉山での過度な飲酒やごみ投棄を防ぐための対応。山梨崇仁町長は「ルールを明示し、(風紀の乱れに対し)町が取り組む姿勢を示すことが大切」と強調する。3日発表した2016年度当初予算案に、関連費用約2100万円(前年度比約200万円増)を計上した。
昨夏の湘南地域の海水浴場は、鎌倉と逗子両市が条例を定めて砂浜での飲酒を禁止。葉山町は条例による規制は設けておらず、海の家の営業終了時間も近隣自治体に比べて遅かった(最長午後10時)ため、海水浴場周辺の風紀の乱れを懸念する声もあった。
町は昨夏、例年通り町内3カ所(一色、長者ケ崎、森戸)の海水浴場を開設。これまでタトゥーを露出したり騒いだりする客を注意する警備員を期間中延べ100人配置していた。
それでも、ごみの持ち帰りは徹底されず、海水浴場周辺に投棄されるケースが以前から問題となっており、町は何らかの対応が必要と判断。16年度は、来場者が帰り始める夕方以降、ごみの持ち帰りを呼び掛けるため、警備員を延べ32人増員する。利用ルールを示す横断幕や看板、ポスターも各海水浴場周辺に新たに設置し、マナー向上に力を入れるとしている。
3日の予算発表会見で、山梨町長は「鎌倉や逗子では飲酒できないが、葉山では飲める。これまで大きな問題になってこなかったが、町も対策に取り組んでいるという姿勢をしっかり示したい」と説明。砂浜での飲酒の是非や海の家の営業時間については、関係団体と協議を重ね、夏前には方向性を明らかにする認識を示した。