昨年5月の空き家対策特別措置法(空家法)の全面施行を受けて厚木市は2月、有識者らを交えた協議会を設置、予防措置や適正管理の促進、利活用などを検討して対策計画の策定に着手する。協議会の設置は、県内では横浜、相模原市に次いで3番目になるという。
住宅土地統計調査によると、厚木市内の空き家率は2013年で13・6%と、08年に比べて1・6ポイント増加しており、県内平均(13年11・2%)を上回っている。このうち、賃貸や売却用などではない一戸建ての空き家は約2200戸あるとみられている。
今後の人口減少時代を見据えて市は昨年10月、住宅課に担当職員を2人配置。空家法の全面施行で可能になった固定資産税の課税分析や、自治会への調査で確認した131戸(今月18日現在)の空き家を台帳登録化して現状把握を進めている。
131戸のうち、倒壊の恐れや衛生の悪化など周辺住民に迷惑を掛ける「特定空き家」に該当する物件はない。しかし、管理不全で改善が求められる空き家は14戸を確認した。空き家状態になった期間は5~20年に及んでいる。
これまでに担当職員が所有者を訪問したり、電話や文書で粘り強く交渉したりした結果、8戸が解体、32戸で長期間放置されていた庭木の伐採が行われ、改善されたという。
同課によると、管理不全に至った主な要因は▽親の家を引き継いだ現所有者が遠方(市外など)に住んでいるために戻る予定がなく、本人も高齢化して定期的な管理ができない▽親が亡くなり、きちんとした相続手続きをしていないために相続人が決まっておらず、売却や賃貸などの話も進まない-など。
同課は「これまで接触できた空き家の所有者の大半は、取り組みが強化された空家法を知っており、気にはしていたようだ。当面は遺言書の作成や専門家への相談を呼び掛けるなど啓発活動に力を入れていきたい」と話している。
市が2月に設置する協議会は関係行政職員、学識者、不動産業者、自治会関係者、公募市民らで構成。対策実施の対象地区や住宅の種類などの基本方針、相談体制、適切な管理促進のための施策、跡地の活用法などを検討、16年度中に計画を策定する予定。