地震による木造住宅密集地域の延焼火災を防ぐため、川崎市は小規模住宅にも防火規制をかける条例を12月に制定し、来年から耐火性の高い建物の建築を義務付ける方針を明らかにした。規制を適用する重点対策地区を指定し、「燃えないまちづくり」を進める。
市はこれまで重点密集市街地を指定し、準耐火建築物への建て替えを促してきたが、延べ床面積500平方メートル以下の2階建ての一戸建てなどの小規模建築物は建築基準法で耐火性能強化の規定の適用外だった。このため延焼防止効果が低い新築が一定割合で続いていた。
新たに制定する条例は、重点対策地区に指定した地区での建築は全て準耐火建築物以上とすることを義務付ける。現行の新築工事費の補助に加え、新たに老朽住宅の解体費の補助制度も新設する。
準耐火建築物とは、近隣の火災延焼防止に加え、出火しても一定の時間は近隣に燃え移るのを食い止める性能を持った建築物。市は規制と補助制度の両輪で建て替え時に不燃化を誘導していく。条例では罰則規定も検討していく。
市は重点対策地区の候補地区として川崎区小田周辺(約101ヘクタール)、幸区幸町周辺(約37ヘクタール)の2カ所を選定。木造住宅が多く延焼リスクが高い地域で、重点密集市街地の指定範囲よりも広い。
市は条例案を12月に市議会に提案し、制定後の来年3月に重点対策地区を指定する予定。来年7月に規制と罰則適用の施行を目指す。同様の条例は県内ではすでに横浜市にある。